新型コロナウイルス感染症の拡大によって、あらゆる業種で経済活動が停滞する中、国や地方自治体がさまざまな支援メニューを打ち出している。
とくに多くの人の生活に直結する支援メニューとして、ニュースなどで頻繁に取り上げられているのは、次の3つの給付金と助成金だろう。
● 特別定額給付金(10万円)
● 雇用調整助成金
● 持続化給付金
申請が殺到していたり、システムがイケてなかったりという事情から、さまざまな混乱も生じているが、いずれにしても、ほとんどの給付金や助成金、補助金は申請しないと受け取れない。
安倍晋三首相は2020年5月14日の記者会見で、世界経済の状況を「リーマンショックと比較にならない、100年に一度の危機」と表現した。
当然ながら個人事業主の筆者にとっても他人事ではないし、多くの人が今後の生活に不安を抱えている状況だ。
だれが、どの支援メニューの対象に当たるのか。ポイントを押さえて、この大波を賢くしのぎたい。
●全住民が対象の10万円、いまは「待ち」の一手か
特別定額給付金と言われるとわかりにくいが、日本に在住する全員が対象とされる10万円の一律給付のことだ。
いまのところ、もっとも多くの人に関係がある支援メニューだ。
「給付金申請、マイナンバーカード求めて役所が混雑 政府が使ってほしいのはカードなのか」で詳しく書いたが、10万円の給付をめぐって、各地の役所に長蛇の列ができている。
しかも、10万円を受け取るために並んでいるというよりも、マイナンバーカードの暗証番号がわからない、オンライン申請のためマイナンバーカードを取得したいといった問い合わせで行列ができている。
この給付金に関しては、今後、各自治体から郵送で申請書が届く。必要事項を記入して、運転免許証などの本人確認書類をコピーして送り返せば、手続きとしては済むようだ。
この給付金をめぐっては、住民として登録されていないとして、一部の外国人が対象から外れるといった問題も起きている。
●雇用調整助成金は事業者が申請する仕組み
雇用調整助成金は、このところニュースで取り上げられることの多い制度だ。
この助成金は、企業が申請する仕組みで、総務などを担当していない限り、企業で働く個人が直接に申請に関わることはない。
39県では、すでに緊急事態宣言が解除されたが、さまざまな業種の企業が休業した。
雇用調整助成金は、休業など事業の縮小を余儀なくされた事業者に対して、できる限り雇用を維持してもらうことを意図した制度だ。
雇用調整助成金を巡っては、安倍首相が会見で、1人当り1日8330円とされている上限金額を1万5000円に引き上げる方針を表明している。
会社に勤めている人は、きちんと休業手当が会社から支給されるかについては注意する必要があるが、助成金の申請そのものは会社側が行なうものだ。
ただ、中小企業を中心に、休業手当が払えないくらい、資金繰りが悪化しているケースも少なくないようだ。
5月14日付けのNHKの報道によれば、こうしたケースを念頭に、会社から休業手当を受け取れない人に、支援金を直接支給する制度の検討が始まっている。
現時点では制度の詳細がはっきりしないが、こちらは個人が申請者になる可能性が高い。
●持続化給付金はフリーランスも可能性あり
持続化給付金は、中小の法人や個人事業主が対象になる。
特定の月の売り上げが、前の年と比べて50%以上減少している場合、受け取れる可能性がある。
上限額は中小の法人が200万円、個人事業主は100万円。
たとえば、2019年の売り上げが800万円だった個人事業主がいるとしよう。
1月〜5月は、毎月40万円の売り上げがあったが、6月には30万円になった。
この給付金のポイントは、どの月の売り上げで申請するかを選べる点だ。
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