アスキースマホ総研・白書 第4回
公正取引委員会の報告書で新型iPhoneに影響が出るのか
0円スマホの次は割賦契約が禁止か? スマホを取り巻く料金事情 (1/3)
2016年08月31日 10時00分更新
モバイル業界のさまざまな発表会やイベントを取材し、四六時中スマホのことを研究し続けるチームがアスキーにいた! そう、彼らの名前は「アスキースマホ総研」。今回は、公正取引委員会が8月2日に発表したある報告書についてピックアップ。
総務省ではなく、公正取引委員会はどのような点を問題視しているのか。また、公正取引委員会が指摘したことで、業界に、そして消費者にどんな影響をもたらす可能性があるのか。ケータイジャーナリストの石野純也氏に解説していただいた。
目次
公正取引委員会は、8月2日、「携帯電話市場における競争政策上の課題について」と題する報告書を発表した。ひと言で言えば、これは、キャリアやメーカー、OSベンダーなど、携帯業界各社の商習慣に対し「待った」をかけるもの。MVNOとの公平な競争にも比重が置かれており、今後、さまざまな関係各社に影響を与えそうだ。
まずは、報告書の内容を読み解いていこう。報告書自体は、既存のビジネスに不正があるといった断定調のものではなく、あくまで現状を整理した形式になっている。携帯電話の販売がどのような仕組みになっているかの説明と言えば、理解しやすいかもしれない。
契約者数の推移や、各社のシェアに加え、MVNOの浸透状況にまで言及されている。端末に関しては、販売台数とともに、買い替えサイクルの長期化や、中古端末、下取り制度などがあることを指摘。さらには、スマートフォンにおけるOSごとの状況まで、示されている。
こうした現状があったうえで、「通信」「端末」「アプリケーション(OS)」の3分野に対し、「課題」が明記されている。
公取委「割引前提の販売方法は見直すべき」
通信に関して、真っ先にやり玉に挙がっているのが、「通信契約と端末販売の分離」だ。報告書では、大手キャリアについて、「端末のみの販売が行なわれていない」と指摘。事実上の、「一体的な販売」だと見なされている。その一体性をより強固にしているのが、「月々サポート」「毎月割」「月月割」と呼ばれる、通信料の値引きだ。
この一体販売や端末購入に対する割引によって、大手キャリアがMVNOよりも有利になるというのが公正取引委員会の見方のようだ。
報告書には「端末価格の割引は、価格競争の表れ」とあり、割引自体は問題視していないものの、一方では「競争政策の観点からは前記販売方法は見直されることが望ましい」とも記載されている。ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社でシェアが9割を超えているため、独占禁止法の「私的独占」に該当する可能性があるという。
わかりやすく言えば、大手キャリアのハイスペックなスマートフォンの実質価格と、MVNO向けに販売されているSIMフリースマートフォンの本体価格差がついてしまうのはケシカランということだ。
iPhoneやXperia、Galaxyといった高価格なスマートフォンの実質価格が3万円程度まで下げられてしまうと、同じ価格帯のミドルレンジ端末が売れづらくなる。しかも、競争上、有利な立場である大手3社がそれを行っている以上、是正しなければ公平性に欠ける。具体例こそないが、報告書に書かれているのは、このようなことだ。
また、SIMロックに関しても、「競争事業者とユーザーとの契約の締結を妨害する場合には、独占禁止法上問題となるおそれがある」としており、否定的だ。
ただし、SIMロックについての記述は、昨年5月に総務省のガイドラインに追認する形になっている。現在では、iPhone、Androidを問わず、基本的には購入から6ヵ月(もしくは180日間)経過した場合、ウェブからなら無償でSIMフリー化できるようになっている。
ここに対しては、「競争政策の観点から評価されるものである」としており、現状を問題視しているわけではなさそうだ。
同様に、いわゆる「2年縛り」に対しても、論調は厳しくない。2年縛りを選択した際の料金があまりに安く、解除料が高い場合には「私的独占」や「取引妨害」に当たるとの見方を示している一方で、最近の取り組みは「競争政策の観点から望ましいものと評価できる」と述べられている。
実際、ドコモは6月から2年縛りがない代わりに長期利用者向け割引を受けられない「フリーコース」を導入。KDDI、ソフトバンクも基本使用料が300円高い、2年縛りなしのプランを導入した。公正取引委員会の報告書は、この方向性にお墨付きを与えた格好と言えるだろう。
大手キャリアとMVNOの関係性にも、一石を投じている。ここでは、総務省のガイドラインにも記載されていた加入者管理機能「HSS/HLR」の開放に向けた取り組みがうたわれている。
報告書では、HSS/HLRを「開放を促進すべき機能」に位置づけた総務省のガイドラインを評価。開放にあたり、技術的な制約があることについても、「直ちに独占禁止法上問題となるものではない」としており、クギを刺しつつも、大手キャリアとMVNOの今後の交渉の行方を見守るスタンスになっている。この部分も、総務省の方針をなぞったものと見ることができる。
以上を踏まえると、通信に関しては、一体販売や割引に関しては総務省以上に踏み込んでいる印象を受けるが、SIMロックや2年縛り、HSS/HLRの開放に関しては、総務省のガイドラインと大きく変わる内容にはなっていない。実質的に影響を受けそうなのは、販売方法ということになるだろう。
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