トイレには用を足すだけの場所に留まらない魅力がある。ひとつはウォシュレット、シャワートイレといった温水洗浄便座だ。もちろん洗浄が目的ではあるが、デリケートな部分に潤いと適度な刺激を与えてくれるという“心地よさ”をひとつの指標にしてもよいではないだろうか。トイレの主要メーカーのウォシュレット、シャワートイレを実際に体験して比較してみた。心地よさを追求したい。
書いた人──ナベコ
現在の住まい(賃貸アパート)にはウォシュレット、シャワートイレがないため、並々以上の憧れがある。ボタンを押して動作音がしてから水が出るまでのわずかな間は、哲学的ひらめきが降りてくる瞑想の時。
目次
温水洗浄便座第一人者のTOTOに迫る
「ウォシュレット」はTOTOの商標
まず最初に言及したいのは「ウォシュレット」という呼称について。
テーマである温水洗浄便座のことであるが、ご存知の人も多いようにTOTOが商標を登録しているため、他社の同様のものはウォシュレットを名乗ることができない。LIXILは「シャワートイレ」、パナソニックはそのまま「温水洗浄便座」とそれぞれの呼称を用いている。
だが、あまりにウォシュレットという名前の認知度が高いため、他社のものもひとくくりにウォシュレットと認識している人が多いことは事実だ。日本での温水洗浄便座の先駆者であることに敬意を表して、TOTOのウォシュレットを今回まず体験したい。
TOTOの歴史を紐解くと、日本にまだ下水道が整備されていない時代であった1912年(大正元年)より衛生陶器の製造研究を開始し、1917年に東洋陶器株式会社を北九州市小倉に設立。なお“TOTO”というブランド名は1969年から使用しているが、社名をTOTO株式会社に変更したのは2007年のこと。名称は設立時の社名に由来にしている。
特許技術である「ワンダーウェーブ洗浄」がすごそう!
TOTOのウォシュレット、これがすごそうなのである。まず名称がすごい。「ワンダーウェーブ洗浄」。
直訳すると“驚くほどの波”だろうか。たいそうな名称がついたこの洗浄技術はTOTO独自のもので、大小の水玉で汚れを落とす“水玉連射方式”によって少ない水量でありながらパワフルな洗浄力を実現したもの。
瞬間的にお湯をつくる“瞬間式”の取り付けウォシュレット「アプリコット」(約11万8000円~)の洗浄のタイプは主に「おしり」「おしりソフト」「ビデ」「ワイドビデ」の4つで、これらがすべて特許技術となる。技術においても他とは違うのだというTOTOさんの自信が見えるようだ。
このワンダーウェーブ洗浄を体験したい。どうしたらいいのだ。そうだ、ショールームへ行ってみよう。
トイレパラダイスを体験したいならショールームへ足を運ぶべし。
記者が向かったのはTOTOのショールーム。東京のTOTOショールームは、新宿と代々木の間に位置する「JR南新宿ビル」の7、8階にある。自由見学も可能だがブースごとにスタッフが常駐しているわけではないため、製品についての説明を聞きたい場合は案内の申し込みが必要だ。ネットからの事前予約もできる。
ショールームには当然、TOTOが誇る最新のトイレのあれこれが展示されている。トイレブースには右の端から左の端までトイレ、トイレ、トイレ。トイレ好きなら歓喜絶叫するだろう。
タンクレスのウォシュレット一体型トイレ「ネオレスト」各種や、レストルームごとのモデルプランの展示などもある。ちなみにトイレのタイプは、最近だと水量を抑えられるタンクレストイレが主流になりつつあるが、手洗いができるタンク付きトイレも根強い人気があるそうだ。家を新築するならと夢が広がるが、私はその前に身を落ち着かせなくては……。
横道にそれてしまったが、今回の目的はウォシュレット!
案内してくれた係の人いわく「TOTOのウォシュレットは、線上の水ではなくサイズの違う粒状の水が噴射され、叩き洗いのようなイメージ」ということ。
「線上の水より水量が抑えながら、大きな水の粒も当たるので、しっかりと水量も感じられます。特におしりソフトは広範囲を洗うので、たっぷりの水で洗浄ができている感覚があるはず。威力をどう感じるかは個人差がありますが、粒状なので一番強力にすると“痛い”と言う人もいますね」
論より体験。だが、さすがにショールームではトイレを見ることはできても、使用することはできない。アプリコットを体感できるところをたずねたところ、ショールームが入っているビルのトイレがTOTOのものだということ。見学後、実際にその威力を試してみることができたのだった!
トイレかわや版「これ尻たい!」
Q:座っていない時にウォシュレット、シャワートイレのボタンを間違えて押すとトイレの外に水が飛び出してきて大惨事にならない?
ナベコ「試してみました! 記者もずっと気になっていたのですよね。これ。会社に設置されているINAXの機種で座らない状態でボタンを押してみると……。動作音さえせず、ピクリとも動かず。結果、大参事には至りませんでしたよ。どうやら最新の機種だと、センサーがあって、人が座っている時以外は噴出されないようですね。おかげでトイレをビショビショにしたということで会社に怒られなくても済みました。」
※トイレの写真は2013年に撮影したもの