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「AI」改め「超知能」から1カ月、トランプ大統領令に従っているのは?

2026年11月04日 18時44分更新

文● James O'Donnell

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Stephanie Arnett/MIT Technology Review

画像クレジット:Stephanie Arnett/MIT Technology Review

トランプ大統領は9月末、政府機関に「AI」を「スーパー・インテリジェンス(超知能)」と呼び替えるよう命じた。1カ月が経ち、政府のWebサイトでは置き換えが進むが、メディアや巨大テック企業の経営者の対応はまちまちだ。用語が忠誠の踏み絵になれば、AIをめぐる議論も分断されかねない。

2026年9月末、トランプ大統領は大統領令に署名した。その内容はただ1つの指示のみで、政府機関がこれまで「人工知能(AI)」と呼んでいたものを「スーパー・インテリジェンス(超知能、Super Intelligence)」と呼び替えるよう命じるものだった。この用語は、数週間前に大統領自身がX(旧ツイッター)上で実施した投票で提示された「エクストリーム・インテリジェンス(極限知能、Extreme Intelligence)」や「シュプリーム・インテリジェンス(最高知能、Supreme Intelligence)」といった他の候補を退けて選ばれたものである。

名称の刷新は、いまやホワイトハウスの伝統となっている。トランプは、特定の水域に対して米国の優位性を示すために名称を変更したり(メキシコ湾をアメリカ湾に、オンタリオ湖をレイク・アメリカに)、新たな組織的優先事項を示すために改称したり(国防総省を戦争省に)、あるいは単に由緒ある場所に自らの痕跡を残すために改称したりしてきた(ケネディセンターの改名をめぐる現在進行中の争いを参照)。

今回の名称変更の公式な理由は、今日のAIシステムが単に知性を「模倣」するのではなく、「人間の創意工夫を増幅する」ものであり、政府の用語もそれを反映すべきだというものだ。しかし、もしこの刷新が他の改称と同じパターンをたどるなら、その影響は政府の枠を超えて広がるだろう。

それは言葉の選択を政治的忠誠心の踏み絵に変えてしまうだろう。新しい用語を使う者は政権への忠誠を示し、使わない者は攻撃の標的になる(トランプ政権が、AP通信が「アメリカ湾」という用語を採用しなかったことを理由に、同社を一部のホワイトハウス記者会見から締め出したことを思い出してほしい)。

しかし、ほとんどの米国人は、ニューヨークとカナダの間にある大きな湖を何と呼ぶべきかについては大して気にしていない。一方AIは、国民的議論の中心にある技術であり、米国人の3分の2が週に複数回利用していると回答している技術だ。今回の改称は、これまでで最も大胆なものかもしれない。

では、改称から1カ月が経った今、誰がこの流れに従っているのだろうか。

まずは政府自体から見ていこう。「Super Intelligence」、あるいは単に「SI」という用語は、政府の調達案件により頻繁に登場するようになった。例えば、移民・関税執行局(ICE)の収容施設向けに「SI搭載」の監視システムを構築する企業を募る新たな要請がその一例だ。新用語はほとんどの政府Webサイトでひっそりと置き換えられている。米国国立衛生研究所(NIH)のサイトを含む一部では、移行期間中は新旧両方の用語が表示される可能性があるという注意書きのバナーが掲示されている。

もっとも、つまずきもあった。改称の命令が出された翌日、国防総省は「プロジェクト・メリディアン(Project Meridian)」と名付けた、戦争の未来を研究する野心的な新構想を発表したが、そこでは旧用語が使われていた。連邦取引委員会(FTC)が先週発表したプレスリリースでは、大統領が命じた2語・大文字表記のバージョンではなく「superintelligence」が使われており、保健福祉省(Health and Human Services)の最近のプレスリリースにも新用語が使われている形跡はない。

国防総省の「最高デジタル・人工知能室(Chief Digital and Artificial Intelligence Office)」のように、近年AI関連の部署や構想、プログラムが数多く生まれていることを考えると、「AI」という用語自体は今後も残り続けるだろう(大統領令は、既発行の規則や文書には適用されないとしている)。

政府職員に関しては、「AI」ではなく「SI」が口をついて出るようになるにはまだ時間がかかりそうだ。数週間前に私が取材した国立研究所のある研究者は、「AI」という言葉を何度も繰り返した後、ばつが悪そうにその言い間違いを認めた。ヘグセス国防長官でさえ、10月3日のインタビューで「AI」という言葉を使っていた。

しかし、トランプが手がけた他の改称の例から考えると、目的は単に政府の語彙を変えることだけではなさそうだ。私たち一般の人々の話し方そのものを変えることが狙いなのだ。

ここ数週間、トランプ大統領が、自身の立ち上げたソーシャルメディア・プラットフォームである「Truth Social(トゥルース・ソーシャル)」に投稿した内容の大半は、中間選挙の候補者への支持表明だった。しかし10月27日、同大統領は選挙運動の合間に、ウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)紙が「ほとんど誰もが使っている、あるいはまもなく使うようになる名称」である「スーパー・インテリジェンス」を使っていないことを批判した。彼はさらに、近く大統領令よりも踏み込んだ新たな規則を設け、政府文書から「人工知能」という表現を完全に禁止する方針を示唆した。

しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルだけではない。創設者自らが「トランプ大統領とその政策を支持する」メディアだと語っているニュースマックス(Newsmax)でさえ、大統領の望む用語を使っていない。

巨大テック企業の経営者たちはこの流れに従っているのだろうか。事情は複雑だ。トランプ大統領は、改称を命じる大統領令に署名したのと同じ日、AIの安全性に関する拘束力のない声明「ホワイトハウス・アコード・オン・スーパー・インテリジェンス」も発表した。これにはテック業界で最も影響力を持つ6人、すなわちグーグル(Google)のスンダー・ピチャイ、アンソロピック(Anthropic)のダリオ・アモデイ、メタ(Meta)のマーク・ザッカーバーグ、オープンAI(OpenAI)のグレッグ・ブロックマン、xAIのイーロン・マスク、エヌビディア(Nvidia)のジェンスン・フアンが署名した。

しかし、3人がトランプの就任式に出席していたこの6人の間でさえ、この用語は定着していない。

CNBCが第3四半期の決算説明会を分析した報道によれば、この用語を一貫して使っていたのはザッカーバーグとマスクだけだった。だがザッカーバーグについては、そもそもメタが2025年から「superintelligence」という言葉を使い続けていたため、あまり参考にはならない。マスクの関連企業はこの用語を最も多く使っているようで、彼は「SpaceXAI」を「SpaceXSI」に改称するとまで約束した。もっともマスク自身は、Xへの投稿では今でもSIとAIを混在させて使っている。

アマゾン(Amazon)、マイクロソフト(Microsoft)、アルファベット(Alphabet)の経営陣は決算説明会で「AI」を使っていたが、マイクロソフトが最近株主に宛てた書簡では「スーパー・インテリジェンスの時代」という表現が使われていた。フアンもこの用語に言及したことはあるが、依然としてAIという言葉も使っている。

この改称プロジェクトに対する異論の1つは、時間と税金の無駄遣いになるというものだ。セールスフォース(Salesforce)のCEOであるマーク・ベニオフが、「AIForce」より「SIForce」の方が良い名称だと判断し、自社にその変更を指示するのは彼の裁量の範囲内だ。しかし現在、政府職員たちは各部署がこの改称にどう対応すべきかについてのガイドを作成するのに時間を費やしている。さらに大統領令によれば、連邦機関の長たちは11月末までに「スーパー・インテリジェンス」の新たな法的定義を策定し、大統領に提出するために協議を重ねなければならないとされている。

しかし私が懸念しているのは、こうした時間や予算の浪費以上に、これがAIに関する国民的議論に与える影響である。驚くほど頻繁に、私はスーパーやコーヒーショップで、見知らぬ者同士がAIについて会話を始める場面に出くわす。その会話の中身は決して明るいものとは限らず、むしろ雇用の消失やAIを用いた戦争について語られることが多い。しかし心強いのは、この技術が自分たちの生活をどう変えていくかについて発言権を持ちたいという願いが、人々の間に広く見られることだ。

人々はAIに対して、あからさまな敵意も含め、まったく異なる感情を抱いているかもしれない。しかし、そうした違いは今のところ、移民問題や気候変動について見知らぬ者同士が話すことを気まずくさせるような党派的分断とは、きれいには一致していない。

もし「スーパー・インテリジェンス」が忠誠心の踏み絵と化せば、こうした状況は失われてしまうだろう。例えば、チャットボットが私たちのメンタルヘルスにとって良いか悪いかについて話していた2人が、片方は「スーパー・インテリジェンス」、もう片方は「AI」と言っていることに気づいた途端、会話をやめてしまう――そんな光景も容易に想像できる。それは私たち全員にとって残念なことだろう。

本稿執筆時点で直前に控えていた米中間選挙(日本版注:本記事のオリジナルは11月2日に公開された)において、米国人は今AIを環境・気候政策よりも重要な問題だと考えていた(民主党支持者に至っては、中絶や銃規制の政策よりも上位に位置づけている)。AIが自分たちの生活にとって何を意味するのかについての国民的議論を、米国人はまだ始めたばかりだ。「スーパー・インテリジェンス」という呼称が定着するかどうかにかかわらず、用語そのものを忠誠心の踏み絵にしてしまうことは、始まったばかりのAIをめぐる国民的議論を前進させることには何もつながらないだろう。

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