水の流れを利用して、コンピューターのように情報を記憶する──。そんな不思議なチップを、米イェール大学の研究チームが開発した。研究成果は10月9日、科学誌「Physical Review X」に掲載され、同大学が14日に研究内容を紹介している。
一般的なメモリは、電気的な状態などを利用して情報を保持している。しかし、新開発のチップは、液体が流れる微細な通路と、その内部に設置した柔らかい繊維を使って情報を記憶するという。
チップには、人間の髪の毛の太さの約半分という深さの微細な流路があり、その中に柔軟な繊維(マイクロファイバー)が配置されている。液体が流れると圧力によって繊維が変形し、2つの安定した状態を切り替える。この状態をメモリの「0」と「1」に対応させることで、情報を記憶する仕組みだ。
また、液体の流れが変わっても、繊維の状態には過去の流れの影響が残る。そのため、チップが以前にどんな“流れ”を経験したのかを、繊維の状態として保持できる。複数の繊維を組み合わせれば、それぞれの状態が互いに影響し合い、より複雑な記憶の振る舞いが生まれることも確認された。
研究チームは応用先として、柔らかい素材で作られる「ソフトロボット」に期待している。電子回路の代わりに液体の流れや圧力で情報を伝え、柔軟な繊維を使って動作を制御することで、電磁干渉などによって電子機器が使いにくい環境でも働くロボットを実現できる可能性があるという。
さらに、植物の根や菌類、粘菌など、脳を持たない生物が過去の経験に応じて行動を変える仕組みを理解する手がかりになる可能性もあるとしている。
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