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Dolby Cinemaをはじめとした5形態で本日公開!

『ガルパン』最終章 第5話は、Dolby Cinemaで何を目指したのか――岩浪美和×庄司光裕が語る映像と音の進化

2026年10月09日 19時00分更新

文● ASCII

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最後は人の目で責任を持つ、コマ単位での調整も

 ティーチインを聞いて実感できたのが、こうした見通しの良さや伝わりやすさが、制作者の細部へのこだわりによって実現したものだったということだ。

 端的に言えば、映像と音響の意図を意識して、際立たせるべき部分を試行錯誤しながら徹底的に磨き上げたHDRの映像。そして混沌とした状況でも、演出意図をわかりやすく伝える「引き算の音響演出」。この2点が、Dolby Cinema版の『ガールズ&パンツァー 最終章』第5話を素晴らしい仕上がりにしたエッセンスだったと言える。

 ティーチインで最初に庄司氏が説明したのは、Dolby Cinemaの映像を支えるDolby Visionについてだ。その大きな特徴として挙げられたのが「黒」の再現力である。

 一般的な映画館では真っ暗なシーンでもぼんやりとした光が感じられ、完全な黒にはならない。この「真っ暗になる」ことが、「我々エンジニアにとってはとても素晴らしく重要なことだ」と庄司氏は語る。

庄司 「作品を作った後に劇場で見ると、どうしても黒が浮いてしまうことを意識してしまいます。そう感じさせない調整はしているのですが、エンジニアとしては気になる部分です。Dolby Cinemaでは0%の黒がちゃんと0%の黒で出るのが素晴らしいところで、暗いところのディテールが流れることなくちゃんと見えるようになります」

 もうひとつのポイントとして庄司氏が挙げたのは、圧倒的な輝度と色彩だ。

 Dolby Visionでは、HDR(ハイダイナミックレンジ)という、映像の明暗差をくっきりと表現できる方式を採用することで、非常に明るい映像と輝くような質感の表現が可能となっている。これを庄司氏は「100%を超える白」と表現していた。同時に、再現できる色の種類や鮮やかさ、色域も広がる。その結果として、ドラマチックな画や没入感を増す表現が可能となり、演出として表現できる幅が広がるのも特徴だ。

 庄司氏によると、ガルパンのDolby Vision映像は、AIを使った4Kアップコンバートとハイダイナミックレンジ化によって実現されている。しかし、AIによる処理だけでは、意図しない形でディテールの変化が生じてしまう可能性がある。そのため、人間の目で1カットずつを細かく確認していく作業が必須だ。「最終的に人間の目で見て正しい形に仕上げる」。この、手のかかる作業が映像のクオリティを支えているというわけだ。

 Dolby Cinema版の『ガールズ&パンツァー 最終章』第5話の制作に際しては、すでにパッケージ化されている『ガールズ&パンツァー 劇場版 10th Anniversary 4K ULTRA HD Blu-ray』のノウハウが生かされた。

庄司 「水島努監督からは、劇場版の4K化の際に『砲撃のところは派手にしたい』『でもキャラクターや戦車の色はあまり変えたくない』というオーダーをいただきました。明るくするとキャラクターの色が変わってしまう面もあるので、その意図をどれだけ汲み取りつつ、通常版との違いをどう見せていくかを考えました。劇場版で最終的に言われたのは『戦車の中を明るくしてください』という要望です。(本作では)こうした劇場版でのやり取りを踏襲しつつ、気になる箇所を指摘してもらう形で手順を進めました」

 とはいえ、戦車道の試合が始まってからの調整は全てが大変だったという。戦車の細かなディテールをどう見せるか、どこまで明るくするか、明るくした結果として問題は起きないかなど、細かな部分に目を光らせ、映像のクオリティを上げていく作業が待ち受けていたからだ。

 ガルパンでは発砲や爆発など、迫力あるアクションシーンが連続するが、繋がったシーンだからといって同じチューニングを適用すればいいわけではない。カット単位、さらにはコマ送りをしながらの細かな調整が必要となる。例えば、同じシーンの流れでも、一部のカットにのみ光っているものがあれば、そこだけを明るくするために、シーンをカットして、異なるプロファイルを当て、なくなればまた戻すといった作業が必要だ。これには長く、悩みながらの作業が必要だった。

庄司 「臨場感を出すために、砲弾を追いかけ、自分で作った効果を当てていきました。コマ単位で砲弾の明るさを変えているシーンもあります。黒いところに明るいものを置くのは簡単ですが、今回は昼間の戦闘シーンもあるので、シーン全体の明るさを出しながら、その中で砲弾を明るく見せるようにする必要がありました」

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