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「Fortinet Secure OT Summit」で語られた最新のOTセキュリティ戦略

工場で起点とすべきはサイバーより“現場リスク” ―― 生成AI時代にフォーティネットが推進する「OTセキュリティの標準化」

文●福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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OTセキュリティの“王道モデル”確立から普及のフェーズに

 セッションでは、フォーティネットがOTセキュリティの標準化に至るまでの5年間の歩みについても明かされた。

 フォーティネットの掲げるOTセキュリティの推進方針は、「組織・運用のボトルネックを解消しながら技術導入の土壌を整え、成功モデルを横展開する」というものだ。

 OTセキュリティを含むDXでは全社最適が理想的だが、個別最適のまま技術導入が先行し、その後に組織と運用が追い付かずに挫折する企業は少なくない。「OT環境では、専任組織自体が存在しないケースも多く、まずは組織の立ち上げをサポートすることが、OTセキュリティを前進する上での重要な鍵だと、この五年間の活動で気づかされた」(佐々木氏)

 こうした組織・運用を先行させる考え方に加え、経営層向けのコンテンツをフックにOTセキュリティを全社プロジェクト化し、まずはモデル工場からスタートして各拠点へ展開していくアプローチが、ひとつの“王道パターン”として確立されてきたという。経営層から攻める理由は、IT(情報システム部)とOT(事業部/工場)では目指すゴールが異なり、組織間の摩擦を生みやすいためだ。

 また、OTセキュリティの支援においては、経済産業省の「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」を足掛かりに活用している。同ガイドラインのチェックリストを網羅した無償のWeb診断を公開。工場セキュリティの第一歩である“現状把握”を、誰もが手軽に実施できるようにした。佐々木氏は、「経営層にセキュリティリスクを訴えるための“最初の一手”として有効な施策になった」と振り返った。

過去4年間のWeb診断データからは約8割の拠点がOTセキュリティが不十分な状態

 ただし、どのようなガイドラインでもチェックリストの確認だけで実態を深く掘り下げても、実効性を伴わないという。あくまでリスク要因の正しい理解が目的であって、本来目指すべきは自社工場の安心・安全を実現するセキュリティ対策そのものだからだ。そのため現状把握後は、組織・技術・サプライチェーン・運用の4つの観点で現場リスクを低減する対策を顧客と共に検討し、具体的なソリューションの導入・実装へとつなげていく伴走型のOTセキュリティ支援を展開している。

 こうした支援を重ねる中で、Web診断を筆頭に、トレーニングやロードマップ策定、PDCA支援、ワークショップといった支援メニューのラインアップも拡充してきた。現在はOTセキュリティビジネスの第2フェーズとして、標準化やソリューションを広く普及していく段階にあるという。

現場リスクに着眼したOTセキュリティの進め方

 この普及フェーズでは、「中小企業支援」と「エコシステム拡大」を中心に推進している。

 まず中小企業支援の“足掛かり”となるのが、中堅・中小企業(SMB)のUTM・次世代ファイアウォールで約5割のシェアを誇る「FortiGate」だ。「この顧客層に多くの製造業も含まれている。中小企業の水準を底上げすることが、日本全体のOTセキュリティ向上に直結する」と佐々木氏。

 加えて、フォーティネットのOTトレーニングを受けた情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)によって、中小企業でも安価にアセスメントやコンサルティングを受けられる仕組みを構築。山口県では地場のセキュリティ企業と連携し、登録セキスペによるセキュアな工場DX推進のサポートサービスも展開している。

 パートナーエコシステムに関しても、同社のノウハウを習得したOTパートナーを30社にまで拡大。アセスメントから運用監視を担うOT SOCまで、ワンストップサービスを提供できる体制を築いている。

エコシステムの拡大でOTセキュリティをスケール

 さらに、国内産業全体の「OTセキュリティ文化の醸成」に向けた活動も注力している。

 2024年8月には、佐々木氏がリーダーを務める、日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)の調査研究部会「OTセキュリティワーキンググループ(WG)」を発足。同WGでは、優れた実践モデルを表彰する「OTセキュリティアワード」の開催や国内外の主要ガイドラインの比較調査報告書の公開、工場セキュリティガイドラインの普及啓発イベントの開催など、さまざまな活動を展開中だ。

 他にも、WGで整理した標準フレームワークを日・ASEAN共同の業界団体を通じて各国へ展開しているほか、日本電気計測器工業会(JEMIMA)主催の展示会と連携するなど、グローバルや他業界を横断する取り組みも推進している。

OTセキュリティワーキンググループによる主要ガイドラインの比較

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