薄型AVアンプは14機種目!
マランツ、薄型AVアンプ「CINEMA 70s Series 2」とその上位モデル「CINEMA 60 Series 2」を発表
2026年09月16日 09時13分更新
マランツは9月16日、AVアンプの新機種「CINEMA 60 Series 2」と「CINEMA 70s Series 2」を発表した。発売は10月30日。価格はそれぞれ24万2000円/18万7000円。カラーはブラックのみとなる。
スリムアンプのマランツの新機種だ
CINEMA 70s Series 2は、2022年10月発表のCINEMA 70sの後継となり、2009年の「NR1501」からスタートしたマランツのスリムデザインAVアンプの最新機種(14世代目)だ。テレビラックにも置きやすい高さを抑えた筐体に、7chのアンプを搭載する。一方、CINEMA 60 Series 2は日本市場では展開されていなかったが、CINEMA 60の後継機種となる。
両モデルのパワーアンプ部には、上位モデルの「CINEMA 40」で培われた技術が投入されている。上位機ではデジタルアンプも使用されているが、両機種は差動一段のAB級リニアパワーアンプ回路となっている。差動一段のアンプ回路はシンプルになる反面、設計やパーツ選択の影響がシビア。コストの制約がある機種では実現が難しい面もある。搭載は自身の表れとも言える。両機種はカレントミラー回路や定電流回路を組み合わせることで、駆動力を飛躍的に向上させた。
2モデルの主な違いは、アンプの出力や筐体サイズ、HDMI出力の数(60は2系統、70sは1系統)、そしてスピーカーターミナルの配置(60は左右一列、70sは上下)だ。また、音質に影響を与えるのがプリアンプ部も、CINEMA 60 Series 2では、1枚基板で構成された7.2chのプリアンプにマランツ独自の高速アンプモジュール「HDAM-SA2」を搭載。電源ラインの変動やハムノイズの流入を強力に抑え込み、アッテネーターに頼らず「プリアンプをしっかり作る」というオーディオ的アプローチを貫いている。
In pursuit of purity〜徹底したノイズ対策とカスタムパーツの饗宴
多様な映像・音声信号を処理するAVアンプの設計は、常にノイズとの戦いでもある。サウンドマネージャーの尾形好宣氏は「ソースをただ再生するのではなく、豊かな音楽性を感じさせること(In pursuit of purity)」を目指し、特性の追求とは異なる視点で入念なチューニングに取り組んだという。従来機種との比較では、主要部品の世代が大きく変わり、コンデンサーや抵抗などが一新されたことが高音質化のベースとなっている。
DAC部にはシーラス・ロジック製の新しい8chの32bit DACを採用。マランツが理想とする音を引き出すため、コストの許す限り高品位なカスタムパーツを奢っている。また、HDMI接続はクロックが音質に影響を与えるため、HDMIジッターリダクションを内蔵し、マスタークロックを叩き直す(リクロックする)ことで高精度かつジッターのない信号伝送を実現したとしている。
パーツ選定においては、まずブロックコンデンサーが専用のカスタム品。Hi-Fiオーディオ機器に用いられる低インピーダンスコンデンサーやフィルムコンデンサーなども適材適所で積極的に採用した。さらには、一体型AVアンプのフラッグシップ機の「CINEMA 30」のチューニングの過程で劇的な音質向上効果が確認された「銅ビス」を、両モデルでも採用(従来の黒ビスから変更)。高密度インシュレーターのフット部には新規配合のフェルトをあしらうなど、トップエンド機のノウハウを応用した妥協のない作り込みが行われている。
新旧比較試聴:静寂から立ち上がる圧倒的なパワーと艶
発表に際しては、5.1.2ch環境でのデモも体験できた。まずはCDプレーヤーを同軸デジタル接続した2ch再生のデモから。マレン・モーテンセンの「Where Would I Be Without You」の楽曲を用いて新旧DACの違いなどを聞く。違いは明確だが、感じるところとしてはSeries 2における音場の広がりと、ボーカルのボディ感の向上などがあった。音像がキュッと引き締まって明確になり、低域のスムーズな押し出し感によって全体のまとまりが格段に上がっている。アンプの基本性能が底上げされたことで背景の雑音が抑え込まれ、きめ細かい音がフワッと空間い浮き上がる様子が見事だ。
続いて大野雄二の80周年記念ライブBlu-rayから、松崎しげるのボーカルが入る『ルパン三世のテーマ '76』を再生(Neural:Xを使用、サブウーファーはパラレル接続)。CINEMA 70s Series 2は、大音量で鳴らしても音が飽和(サチる)せず、スケール感を損なうことがない。薄型アンプでここまで鳴らせれば大満足といったところ。音調もクリアで、適度な艶感があって美しい。同時にアナログアンプらしい滑らかさも持つ。
ここでCINEMA 60 Series 2に切り替える。大きな方向性は変わらないが、スピーカー駆動の余裕感が一段上がり、上位モデルらしさを感じさせた。優劣をつけるなら当然CINEMA 60 Series 2に軍配が上がるのだろうが、CINEMA 70s Series 2がかなり健闘している感じがあるのも印象的だった。
映画再生のテストとして「F1」の冒頭、デイトナ24時間レースを描いたレースシーンを視聴する。モードはムービーモードからDolbyを選んだ設定。ちなみに、先のルパン三世は上下方向をアップミックスする設定だったが、こちらは元がDolby Atmosのなので最初からトップスピーカーを使用する前提で作られた音源となる。新機能の「チャンネル・レベル・モニタリング」機能を使用すると、シーンに応じてトップスピーカーの割り振りが変化しているのが面白い。
アクションシーンでは全チャンネルを使って音の空間を表現するのだが、日常シーンなどではトップを使わず敢えてフロント中心の控えめな表現にするなど、制作の意図を詳しくすることができる。表現力としては、S/N感が極めて高く、上空で炸裂する花火の残響、場内アナウンスの響き、唸るエンジン音、そしてドアがバタンと閉まる瞬間など、あらゆる効果音が極めてキレ良く立体的に描写され、映像への没入感を究極まで高めていた。
シアター体験を豊かにする先進機能
ユーザー体験を高める機能も充実。上述した各チャンネルの出力状況が可視化される「チャンネルレベル表示」機能では、再生中の作品がトップスピーカーをどの程度活用しているかなど、映画の音声デザインの裏側を覗き見るような新しい楽しみ方ができる。また、ゲーマー向け機能として「AMD FreeSync」もサポートしている。これは、GPUの出力に合わせてモニターのリフレッシュレートを調整し、画面のティアリングを抑えるもの。暗所での操作性を高めるバックライト付きリモコンの搭載や、パッケージからビニールを排除する環境への配慮など、細部まで隙がない。
シアターアンプとしての多機能性と、Hi-Fiオーディオの純度。その両方を劇的な次元でアップデートさせたCINEMA 60 / 70s Series 2は、ミドルクラスAVアンプの新たなベンチマークとなることを予感させた。
主な仕様:
CINEMA 60 Series 2
アンプ数:7ch
定格出力:100W+100W(8Ω)
入出力端子:HDMI(入力6、出力2)、アナログ音声入力×4、Phono入力(MM)、光デジタル入力×2、同軸デジタル入力×2、7.2chプリアウト、ゾーンプリアウト、ヘッドホン出力、Ethernet、USB-A、USB給電端子(5V1.5A)、Bluetooth送受信、Wi-Fiほか
ネットワーク再生機能:あり
FM/AMチューナー:あり
サイズ:幅442×奥行き354×高さ165mm(アンテナを寝かせた状態)
重量:10.9kg
CINEMA 60 Series 2
アンプ数:7ch
定格出力:50W+50W(8Ω)
入出力端子:HDMI(入力6、出力1)、アナログ音声入力×3、Phono入力(MM)、光デジタル入力、同軸デジタル入力、7.2chプリアウト、ゾーンプリアウト、ヘッドホン出力、Ethernet、USB-A、USB給電端子(5V1.5A)、Bluetooth送受信、Wi-Fiほか
ネットワーク再生機能:あり
FM/AMチューナー:あり
サイズ:幅442×奥行き384×高さ109mm(アンテナを寝かせた状態)
重量:8.7kg
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