春のヘッドフォン祭 2026 第3回
エミライ自社開発のイヤホン「em NEXIEM Limited(Sound Master Edition)」がスゴい、FIIOは今回も多すぎの新製品
2026年05月04日 06時00分更新
4月25日に開催された「春のヘッドフォン祭 2026」。エミライは自社ブランドem NEXIEMシリーズの新製品やFIIOブランドを中心とした多数の参考出品を展示した。
独自のこだわりが光るエミライ自社ブランド
「em NEXIEM」は、これまで完全ワイヤレスイヤホン1機種がクラウドファンディングで展開されてきた。これに「em NEXIEM Limited(Sound Master Edition)」と有線イヤホンの「em NEXIEM Linear」が新たに加わる。
em NEXIEM Limited(Sound Master Edition)はレコーディングスタジオのprime sound studio formに所属するエンジニアと共同で開発した製品。外観上はem NEXIEMと同じに見えるが、音作りだけでなく、内部は大きく変更となっている。
興味深いのは、開発手法だ。まず最初にメーカー側が製品を開発し、それをレコーディングスタジオのエンジニアが監修するといったよくあるかたちではなく、先にエンジニアが開発ツールを使って理想的なEQカーブなどを設定。それに合った形に製品側を調整するという「本当の意味での音質設計」に関わっているのが特徴だ。
MEMSドライバーに大型のダイナミックドライバーを組み合わせたハイブリッド構成で、Bluetoothチップには、クアルコムのQCC5171を搭載し、SBC、AAC、aptX、aptX Adaptive、LDACなど多彩なBluetoothコーデックに対応する製品となっている。
会場にはprime sound studio formからレコーディングエンジニアの森元浩二氏がやってきて、来場者の意見を直接聞く機会も設けられていた。
ちなみにデモ用に持ち込まれていた音源は2種類あり、一方が森元氏、もう一方が一緒に開発を担当している峯岸良行氏が調整したもの。森元氏の音源はブライトで解像感が高く、明るい印象になる音、全体のバランスが良く声なども明瞭に聞こえる印象。峯岸氏は対照的に低域の厚みや音程感、リズム帯の見通しの良さを感じさせるものだった。
お話を聞くと、「実際に会場で再生したからわかる気づき」もあったそうだ。例えば、ノイズキャンセル処理の影響か、人が多くにぎやかなイベント会場では、意図していたより中域が落ちる傾向があること。本来はこんな形を意図していたと、会場に持ち込んだ「Pro Tools」で600Hz付近の音を軽く上げてデモしてくれたが、明らかにそのほうがよかった。軽く調整しただけで聴こえ方がここまで変わるのかという驚きがあり、かつ完成に向けてどこまで音が追い込まれていくのかも楽しみに感じた。
トランスミッションラインで音響特性を改善
なお、このイヤホン内部には、ETL(Embedded Transmission Line)という、ドライバーの裏側に出た音を減衰させて音響特性を改善する技術も用いられている。
トランスミッションラインはスピーカーなどではバスレフの代わりに用いられることのある技術で、数は少ないがイギリスのPMCやイタリアのALBEDOなどが用いている。キャビネットの中に長い管(音導管)を設置して、低域を増強したり、周波数特性を整えたりするもの。
本機でもイヤホンの内部で発生する反射波や定在波による干渉を減らして低音を中心に全周波数帯域で安定した特性を得るために使用しているという。
イヤホンとしては、環境に応じて最適化されるノイズキャンセリング機能、IP54の防水・防塵設計、マルチポイント接続、専用アプリでのANC設定、マスターゲイン、マルチ接続切替、イコライザー、タッチ操作などの設定が可能となっている。
連続再生時間は約5.5時間(ANC OFF、音量60%)、約4.5時間(ANC ON、音量60%)。価格としては2万円程度を予定しており、現在クラウドファンディングのティザーサイトも立ち上がっている。
MEMSドライバーの卓越性を再発見「em NEXIEM Linear」
もうひとつのem NEXIEM Linearも特徴的なイヤホンだ。フルレンジMEMSドライバー(試作機ではxMEMSのMontara Plus)の可能性を追求するのがコンセプトだという。シリコンチップの振動によって音を出すMEMSドライバーは高域特性が良く、一般的なドライバーにはない繊細で歪みの少ない再生音が特徴だが、低域の音圧を出しにくいという側面もあり、フルレンジで使っている例はあまりない。これにはノイズキャンセル機能の実現が難しいという理由もある。
一方、エミライの島徹氏は過去CESの会場で「初めてフルレンジMEMSの音を聞いた時の衝撃が忘れられない」と言う。(方式を少し変えた次世代版のフルレンジMEMSドライバーも存在するが)その時に聴いたMontara Plusを使ったイヤホンの可能性を追求すべく、製品の開発に取り組んでいるという。詳細については、まだ未定の部分が多いが、フルレンジMEMSドライバーの魅力を伝える、業界の橋渡し的な存在になる製品としてem NEXIEM Linearを作り上げたいとのことだ。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第2回
Audio & Visual
春のヘッドフォン祭 2026で見つけた注目イヤホン&プレーヤー新製品、気になった音 -
第1回
Audio & Visual
「春のヘッドフォン祭 2026」で見つけた注目の新製品、発売が待ち遠しいヘッドホンたち - この連載の一覧へ










