「洋服を選ぶように、自分らしく時間をコーディネートする」1日の過ごし方が変わる新しい時間術

文●源詩帆  編集/山野井春絵

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 「時間がない」「いつも何かに追われている」「休むことに罪悪感がある」…そう感じているミドル世代女性は少なくありません。しかし時間術の専門家(タイムコーディネーター)の吉武麻子さんは、問題は時間の量ではないといいます。 吉武さんが提唱する「タイムコーディネート」は、単なる時短・効率化の手法ではありません。自分にとっての心地よさを軸に、時間の使い方、1日の過ごし方そのものを整えていく考え方です。今回は、タイムコーディネートの概要や「時間がない」と感じる原因、ミドル世代女性が陥りやすい日常について伺いました。(シリーズ1/3) 

洋服を自分好みにコーディネートするように、時間をコーディネートする

 タイムコーディネートとはどのような考え方なのか、吉武さんに、その概念を教えてもらいました。

 「世の中には時間術の本がたくさんありますが、時短・効率化を中心にしたテクニック本がほとんどです。参考になる部分も多い一方で、仕事だけでなく家事・育児・介護・地域社会との関わりなど複数の役割を抱える女性にとっては、時短・効率化だけでは逆に苦しくなってしまうケースが多い。そこに気づかないまま走り続けると、どんどん疲弊してしまいます。

 私が考案した『タイムコーディネート』とは、今の時間の使い方を見直し、自分が本当に大切にしたいことを基準に時間を組み立てていく考え方です。洋服やインテリアを自分好みにコーディネートするように、時間の使い方も自分にフィットしたものにしていこう、そういう意味を込めて『タイムコーディネート』と名付けました。

 時間の使い方には、その人の価値観が表れます。自分の人生にとって必要な時間を意識的に配置していくことで、暮らし全体のバランスを整えていきます。その上で、行動の優先順位を決め、本当にやるべきことを進めていきます」

「自分にとっての心地よさ」が、時間の使い方を変える判断軸になる

 では、実際にはどのように「タイムコーディネート」をするのか、具体的な考え方を伺いました。

 「例えば『ダラダラする時間』は、『やめるべき習慣、無駄な時間』と思われがちですが、タイムコーディネートの考えでは違います。自分にとってダラダラすることが必要な時間であれば、その時間も1日の中に取り入れます。 必要かどうかは自分にとっての『心地よさ』で判断をします。ダラダラすることに心地よさを感じるなら、それは無理して削るべき時間ではありません。誰かにとっての不要な時間が、自分にとっても不要な時間とは限らないからです。大切なのは、流されてダラダラ過ごすのではなく、自分の意思でその時間を選んでいると感じられることです。つまり、時間の主導権を自分で握るということです。

 『心地よさ』を判断軸に加えることは、日々の生活のさまざまなことにも応用できます。自分にとって心地よくできない家事は家電や外部サービスに頼る、心地よくない人間関係は付き合う距離を自分で決める、仕事は条件だけでなく『心地よさ』でも判断してみる。

 この『心地よさ』のアンテナを日々磨いておくと、自分ならではの判断基準が育ち、時間の使い方を自分で選んでいる感覚が少しずつ持てるようになります。何かを依頼された時も迷う時間が減り、毎日の小さな選択にかかる時間がどんどん減っていきます。

 『心地よさ』というと、『ゆったり・余裕がある』というイメージを持たれがちですが、テキパキ動くことが心地よいという人もいます。自分にとっての心地よさは人それぞれでいい。『心地よいかどうか』を考える癖を身につけることで、アンテナの感度は自然と上がっていきますよ」

「時間がない」の正体は、時間の量ではなく主導権

 なぜ、多くの方が「時間が足りない」と感じ焦ってしまうのか、その原因を伺いました。

 「実は、時間そのものが足りないのではなく、時間の主導権を自分で持てていないことが、『時間が足りない』と感じる最大の原因です。役割が増えるほど、求められることも多くなります。頼まれたからにはやる、期待に応えていく、そうやって目の前のことをひたすらこなし続けるような毎日になってしまいますよね。

 先ほどお話しした『心地よさで判断する』という考えは、時間の過ごし方に主導権を持つという考えと近い部分があります。例えば、朝、目は覚めているのにベッドから出るのに時間がかかる場合、『早くベッドから出ないと時間がもったいない』と焦るのと『朝すぐに起き上がるのは苦手だから7:00になるまではこのまま横になって体を休ませよう』と決めるのでは、充実度が異なります。

 『自分の主導権のもと、ベッドから出ないという判断をしている』と感じられるようになるだけで、朝ゆっくりできることに感謝できたり、ベッドの中で考え事や読書をすることもできるかもしれません。そのように、時間の使い方に『主導権』を意識するだけで、『時間がない』と感じるストレスは軽減されていきます」

「また同じ一日が終わった」達成感のない日常が強みに変わる

 ミドル世代女性が抱えやすい時間の悩みと、この世代だからこそ持っている強みについて伺いました。

 「先ほども少しお伝えしたように、ミドル世代女性の時間の悩みで特徴的なのは、役割がとにかく多いことです。仕事、家事、子育てに加え、介護やご自身の更年期が重なる方もいる。さらに地域での活動に参加したり、副業に挑戦したり、趣味の時間も持ちたいとなると、それらすべてを24時間の中で回していかなければなりません。

 結果として、自分のことは後回しにして、最低限のタスクをひたすらこなす毎日になってしまう方が多く、『毎日忙しいのに、達成感も充実感もない。また同じ一日が終わった』、そういう感覚に陥りやすいのが、まさにこの世代の特徴だと感じています。

 子育ては落ち着いたから、ずっとやってみたかったことに挑戦したい、第二のキャリアを考えてみたい。そう考えているミドル世代女性は多い一方で、『仕事』や『新しいこと』に対して自信が持てないという方もたくさんいます。

 でも、そういった方にこそ、お伝えしたいことがあります。仕事では、優先順位を決めて見通しを立て、限られた時間とエネルギーを割り振りながら進めていきますよね。家事も実は同じで、とても高度な時間設計の積み重ねです。

 今何をすべきか優先順位をつけ、在庫を把握し、買い出しの順序を考える。すでに家事を当たり前にこなしているのに『自分は時間の使い方が下手だから』と思っている方も多いですが、そんなことはないはずです。

 複数の役割を同時にこなしてきたミドル世代女性だからこそ、すでに時間を調整する力は身につけています。そこに『心地よさ』という自分の気持ちの視点も加えて、自信を持って新しいことに挑戦してほしいと思っています」

 次回の記事では、「心地よさ」と「主導権」をもとにタイムコーディネートをすることで、どのようなことが可能になっていくのか、事例を交えてお届けします。

著書『「時間がない!」から「余裕のある毎日」へ 24時間が変わる朝の30分』(大和書房)。朝時間をテーマに、5タイプに合わせた実例がわかりやすく紹介された一冊。

 

Profile:吉武麻子

よしたけ・あさこ/TIME COORDINATE株式会社代表取締役、作家、タイムコーディネーター

神奈川県生まれ。大学卒業後、旅行会社勤務を経て、26歳で韓国留学。その後、現地法人でキャスティングディレクターとして24時間365日仕事に追われる日々を過ごす。帰国後、キャリアとライフイベントの狭間で葛藤した経験から、疲弊せずに毎日を楽しみながら仕事のパフォーマンスもあげていく「タイムコーディネート術」を考案し、のべ4000名以上に指南。著書に『1年・1カ月・1週間・1日の時間術』『時間デトックス』『24時間が変わる朝の30分』など。その他『時短・効率化の前に今さら聞けない時間の超基本』などの監修や、タイムコーディネート手帳の製作販売、企業研修、時間の専門家として各種メディアにて掲載・連載執筆を行っている。プライベートでは小学生2児の母。


吉武さんのInstagramはこちら。

 

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