長距離実証での実証を重ね「ダム工事の無人化」を目指す
重機3台の遠隔施工をオペレーター1名で NTTと大成建設がIOWNדローカル5G/WiGigの使い分け”で実現
2026年04月13日 07時30分更新
技能者不足や長時間労働が深刻化する建設業界。国土交通省でも建設現場の生産性向上を推進しており、その柱のひとつとして「施工のオートメーション化」を掲げている。
NTTとNTT東日本、大成建設の3社は、2026年4月10日、1台の操作卓から離れた現場の“3台の重機”を遠隔操作・自動制御する実証実験に成功したことを発表した。拠点間をオールフォトニクス・ネットワーク「IOWN APN」で接続し、現場ではローカル5GとWiGigの無線環境を使い分けることで、重機の無人化施工を実現している。
今回は、三重県内の約5km離れた短距離区間での実証となったが、2026年度内に長距離区間での実証も重ね、2027年度には実際のダム工事に適用していく予定だ。
“ローカル5G”を自動制御、“WiGig”を遠隔操作で使い分ける
3社による実証実験は、国土交通省が掲げる建設現場のオートメーション化施策「i-Construction 2.0」に呼応する形で実施されたもの。同施策の柱のひとつが、自動施工や遠隔施工、施工データの活用による「施工のオートメーション化」である。
今回は、重機の自動制御・遠隔操作に不可欠な「低遅延・低ジッタ(遅延ゆらぎ)通信」や広域な工事現場でも重機を安定稼働させるための「無線環境の構築」といった、ネットワーク面の課題を検証している。
実証実験は、2026年2月2日から2月27日にかけて、三重県の桑名市の遠隔操作拠点と、同県の員弁郡東員町の実証現場で行われた。直線距離で約5km離れた両拠点間を、大容量・低遅延・遅延ゆらぎなしの通信を特徴とするIOWN APNで接続している。
遠隔操作の拠点には、遠隔操作・自動制御システムと重機制御の接続切替システムを設置。実証現場には、複数の無線方式(ローカル5G、WiGig)を組み合わせたネットワーク環境を構築し、メーカーが異なる3台の重機を配置した。
なお今回は、ダム現場での土木工事や堆砂処理(ダムの底に溜まった土砂を搬出する工事)を想定しており、土砂の掘削、積み込み、運搬、敷きならしといった一連の工程を遠隔操作・自動制御できるかを検証している。
NTT IOWNプロダクトデザインセンタ APN推進プロジェクト担当課長の坂本誠治氏は、「ダム工事では、IT環境を整えるために、最初に光ファイバを敷設する。これを活用して遠隔操作・自動制御までできるようにする」と語る。
実証現場では、用途に応じてローカル5GとWiGigを使い分けている。
ローカル5Gは、自社占有の5Gネットワークを敷地内で構築・運用できる仕組みである。今回はローカル5Gの広域なエリアカバレッジと、そのエリア内で大容量通信を可能とする点を活かし、重機の「自動制御」領域を担っている。
一方、60GHz帯を使った無線LANであるWiGigは、重機の「遠隔操作」領域で採用された。同帯域のミリ波は直進性が強い特性があり、移動体には搭載しづらいが、NTTの開発した「サイトダイバーシティ」技術で解決している。
この技術は、2つのアンテナ部が互いに異なるアクセスポイントに接続し、常に最適なアンテナ部を選んで通信を維持するものだ。同技術に対応したWiGig端末を重機に搭載することで、遠隔操作が途切れない安定した通信環境を構築している。
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