10年間・10万人の接客知見からAIが見抜く“顧客のこだわり”、ただし実用化は「泥臭い世界」だった
あなたの「本当に住みたい部屋」はAIが知っている CHINTAIエージェント開発の舞台裏
2026年04月06日 11時00分更新
物件検索サイトもあるのに「探さない部屋探し」サービスが必要だった理由
こうした「希望をざっくり伝えて、提案を待つ」かたちの部屋探しこそが、「探さない部屋探し」の正体でした。
実は、CHINTAIでは、およそ10年前(2015年ごろ)から「探さない部屋探し」サービスを続けてきました。ただし、スタート当時は現在のようなAI技術はなかったので、“人力”でサービスを展開していました。スタッフがユーザー一人ひとりの希望を聞き、部屋探しのアドバイスをしたり、物件を紹介したりする、そういうスタイルです。
やがて人気が高まり、有人対応が難しくなってきたことから、チャットボットの自動応答によるサービス提供に切り替わりました。それでも、2020年までは“人力で案内する”スタイルが続いており、この間に利用したユーザーは10万人に達しました。
しかし、ここで疑問があります。物件検索ができるサイト「CHINTAIネット」がそれ以前からあったにもかかわらず、なぜ新たにこのサービスも始めたのでしょうか? この質問に、小黒さんはスタートの背景をこう説明します。
「ポータルサイト経由で不動産会社にお問い合わせをいただくお客さまは、ご自身の希望条件にマッチする物件が見つかった方だけです。その向こう側には、『住みたいエリアの相場観(標準的な家賃)を知らない』『希望の条件をうまく言語化できない』といった理由で、物件が見つからないお客さまも数多くいらっしゃいます。そこもフォローさせていただく必要があるのではないか、と考えたのが始まりです」(小黒さん)
つまり、「探さない部屋探し」サービスの本質的な価値は、CHINTAIが部屋探しを代行してくれることではありません。「部屋探しに慣れていないユーザーの希望や好みをくみとってあげること」や、「希望する条件を少し広げて(ゆるめて)、現実的な選択肢を提案すること」にこそ、新たな価値があると言えます。
10万人の部屋探し支援ノウハウを生かし「予想外の部屋が見つかる」
そして、部屋探しの条件を広げることにより、2つめの特徴である「予想外の部屋が見つかる」が実現します。髙橋さんは「駅から徒歩10分」という条件を例に、こう説明します。
「物件を検索する際、何となく『駅から10分以内』と条件を入力してしまう方は多いのですが、もしかしたら『駅から11分』の場所に好条件の物件があるかもしれません。こちらから条件を少し広げてご提案することで、お客さまの希望に合った『予想外の部屋が見つかる』可能性も広がります」(髙橋さん)
髙橋真さん。AI導入以前からCHINTAIエージェントに携わるほか、女性向け、子育て世帯向けなど、さまざまな新規サービスを手がけてきたとのこと。「次は『宇宙をやれ』と言われています」。え、宇宙とは……?
ただし、価値観やこだわりは人それぞれです。最寄り駅、築年数、広さ、周辺環境、家賃――と、その人が「どの条件を大切にしていて、譲れない点なのか」「どの条件ならば妥協できるのか」を見極める力がなければ、条件を広げた結果として的外れな提案になってしまい、うまくいかないでしょう。
今回、生成AIを組み込んだサービスを開発するにあたっても、この点が大きな課題になったといいます。ここで役立ったのが、CHINTAIが10年間、およそ10万人の“こだわり”と向き合ってきた経験です。髙橋さんは「そのお客さまが何を大事にしているのかを読み解く部分で、これまでのサービス経験がすごく役立っています」と話します。
理想の部屋が見つからない人はもちろん、セカンドオピニオンとしても有効
それでは、このCHINTAIエージェントは、どんな人が、どんな風に使うのがおすすめなのでしょうか? CHINTAIネットのような、従来型の検索サイトとはどう使い分ければよいのでしょうか? これもお二人に聞いてみました。
まずは、ポータルサイトで検索しても物件が出てこない、見つからない人には「ぜひ使ってほしい」とのこと。小黒さんは「CHINTAIエージェントには、自分で探さないからこそ出会える物件があります」と強調します。
また髙橋さんは「ご自身でポータルで検索したあとに、“セカンドオピニオン”として使うのも良いと思います」と話しました。髙橋さん自身は、これまで18回(!)も引っ越しをしたという引っ越し通ですが、それでも、CHINTAIエージェントからの提案に「そう来たか!」とうならされることがあるそうです。
「物件探しに慣れたわたしから見ても、『ほう、渋いところを紹介してきたな……』と思うことがありますよ(笑)。王道の提案じゃなくてこう外してくるのねと、慣れている方でも面白くご利用いただけると思います。これまで知らなかった街だけど、エージェントの提案で『良さそうじゃん』と思い、候補が増えていく。そんな使い方もできます」(髙橋さん)
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