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リコージャパン「RICOH Virtual Workplace」を建設コンサルのドーコンが採用

“施工後の修正コスト10倍”を防げ リコーのVRによる合意形成、東京・石神井川の護岸設計に導入

2026年03月26日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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「RICOH Virtual Workplace」のデモンストレーションの様子

 リコージャパンは2026年3月19日、VRヘッドマウントディスプレイ(HMD)を活用したバーチャル空間ソリューション「RICOH Virtual Workplace」の新たなユースケースを発表した。東京都建設局が推進する石神井川護岸整備事業において、河川管理用道路の設計業務に採用された。設計案を仮想空間上に再現することで、関係者間の情報共有や合意形成の迅速化に貢献する狙いがある。

 RICOH Virtual Workplaceは、VR上に再現された仮想空間へ複数の関係者が同時にアクセスし、共同作業を行えるシステムだ。これまでも、鹿島建設での建築設計高度化や新人研修、竹中土木でのトンネル工事における仮想空間上のデジタルツイン構築などに導入されてきた。また、東急建設の線路切替工事プロジェクトや、清水建設のコンクリート構造物ひび割れ点検システムなど、幅広い実績がある。

リコージャパン RICOH Digital Services BU スマートコミュニケーション企画センター フィールドソリューション企画室 フィールドソリューション企画グループの前鼻毅氏、ドーコン 東京支店 事業部 主任技師の松田達生氏

VR空間に再現された計画護岸と河川管理用道路の3D画像

施工段階の手戻り発生で「コストは10倍以上」に

 今回の事例は、護岸上に計画された道路設計案をVR空間に再現し、シミュレーションを行うもの。複数の3Dデータを組み合わせ、VR HMDを使って完成後の現地のような臨場感を再現することで、関係者間の情報共有や合意形成を迅速化し、業務効率化と生産性向上につなげる。

 リコージャパン RICOH Digital Services BUの前鼻毅氏は、施工段階で設計の不整合が発覚すれば、手戻りが発生し、工期遅延やコスト膨張の原因になると指摘する。そのため、設計検討プロセスの中で、詳細な検討を前倒しで行う「フロントローディング」が重視されている。

 「施工段階での修正コストは、設計段階の10倍以上かかると言われており、それを解決するために、設計や検証作業を前倒しするフロントローディングの実行が重視されている。RICOH Virtual Workplaceは、フロントローディングの実現を支援できる」(前鼻氏)

設計段階での検討を高度化することで手戻りを防止、コスト低減や工期短縮に寄与する

 また建設プロジェクトでは、施主や施工、設計など、多様なステークホルダー間の合意形成に時間がかかるという課題もある。RICOH Virtual Workplaceでは、BIM/CIMデータやスキャンデータを用いて高品質なVR空間を容易に構築できるため、複数の関係者間で同じイメージを共有しながら、「直感的な合意形成やレビューの早期化が可能になる」と前鼻氏は説明する。

地元住民を含む関係者が“仮想空間を歩く”臨場感のある情報共有を実現

 石神井川は流域人口が多い都市河川であり、市街地の災害対策として護岸整備が急務となっている。東京都は現在、設計業務を建設コンサルタントのドーコンに委託し、事業を進めているところだ。

 ドーコンでは、東京都が抱える課題の解決とDX推進への貢献を考慮して、RICOH Virtual Workplaceを採用した。ドーコンの松田達生氏は、「仮想空間の利用により、歩行者視点で沿道の傾斜を体験できるなど、完成イメージを共有できる効果がある」と述べ、コミュニケーションの取りやすさやデータ変換機能の利便性などのメリットを評価している。

 これまでの石神井川護岸整備事業では、歩行者視点でのスロープの視認性や、車両・歩行者の通行スペースの利便性、駐輪場など近隣施設への安全性などの検証を、図面確認や現地調査で行っていた。そのため、地元住民を含む関係者間での情報共有作業は煩雑だった。

 今回のRICOH Virtual Workplace導入により、発注者と受注者がVR空間内を歩きながら検証できるようになった。護岸と橋の接続部の高低差、沿道と住居入口の高低差といった細部についても、VR空間内に改善イメージを書き込みながら議論できるため、臨場感のある情報共有と効率的な合意形成が実現している。

歩行者の視点から沿道と住居入口の段差も検証可能

 今後、ドーコンでは、点群データだけでなく3DGS(3D Gaussian Splatting)も活用して、VR空間の表現力を高めていく計画だ。

 リコージャパンでは、建設分野をRICOH Virtual Workplaceの重点領域のひとつと位置づけ、ゼネコンや設計事務所、土木分野の建設コンサルティングへの活用を推進する。さらに、設計検討をより円滑に行うための機能を追加し、サービス運用の負荷低減や顧客業務効率化のためのAI活用などを進めるという。前鼻氏は「パートナーとの協働を深め、RICOH Virtual Workplaceの活用推進を通じて、建設業のDXを加速させ、安心で快適な生活環境づくりに寄与していく」と述べた。

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