データセンター選びの新常識 ユーザーの課題に応える選択肢を探る 第4回
トータルソリューションやマルチクラウド接続、ミッションクリティカル領域に強み
再編続く大手SIer系データセンターの現在地 AIによる電力コスト高騰にどう応えるか
2026年03月13日 10時00分更新
現在、首都圏のデータセンター枯渇、AIによる電力コストの高騰、インフラエンジニア不足など、企業のデータセンター選びにおいて考慮すべき課題が積み重なっている状態だ(参考記事:首都圏のデータセンター枯渇、電力コストの高騰、エンジニア不足 課題から考える最新データセンター選び)。
再編進む大手SIerは、顕在化する課題にどう向き合っているのか。本記事では、各社が展開するデータセンタービジネスの最新動向をお届けする。
SIer系データセンターの強みは、施設(ファシリティ)だけではなく、運用・保守までワンストップで任せられる安心感。そして、マルチクラウド接続やセキュリティ要件の厳しい業界における豊富な実績などが挙げられる。
こうしたデータセンター事業を手掛けるSIerの中から、今回、NTTデータ、SCSK、日立システムズおよびTISIをピックアップした。
NTTデータ:京阪奈エリアの新DCに加えコンテナ型DCも間もなく
まず紹介するのが、国内最大級のデータセンター事業者であるNTTデータだ。首都圏を中心に全国の主要都市にデータセンターを展開しており、2026年2月には京都府精華町にIT電力容量30MWの「京阪奈データセンター」を開設。千葉県白井市(2027年3月竣工予定)や栃木県栃木市でも、大規模データセンターの開発を進めている。
京阪奈OSK11データセンター(NTTデータのWebサイトより)
サービスの特徴としては、ファシリティを始め、クラウド(OpenCanvas・Oracle Alloy)からアプリケーション、運用までフルスタックで対応可能な点だ。さらには、こうした自社サービスでの知見を活かして、顧客データセンターの“空洞化”を解決する「データセンター資産最適化支援サービス」も手掛けている。
電力コスト高騰に対しては、2024年11月、液冷技術を事業者間で共同検証するための場である「Data Center Trial Field」を千葉県野田市に開設。加えて、ゲットワークスとの実証実験をもとに、最新の液冷技術を備えたコンテナ型データセンターを2025年度内に提供予定だ。
こうしたNTTデータを含むNTTデータグループは、2025年9月にNTTの完全子会社となった。これは、意思決定プロセスを一元化して、NTTデータグループをグローバルソリューション事業の中核に据えるためだ。これに伴い、データセンター領域への投資がさらに加速して、IOWNなどを活用したデータセンター高度化に向けた連携も深まっていくことが期待される。
SCSK:マルチクラウド接続サービス「SCNX」で主要3クラウドに閉域接続
続いては、2025年12月に住友商事によるTOB(株式公開買い付け)が成立し、完全子会社化するSCSKだ。この統合によりSCSKは、デジタル・AIを起点としたデジタルソリューション事業の中核を担い、同社のデータセンター事業の位置付けもより重要になっていく。
SCSKの手掛けるデータセンターサービスのブランドは「netXDC」である。データセンターの延床面積は8万4000㎡と国内有数の規模を誇り、首都圏(印西)と関西(三田)の郊外型と都市型を組み合わせたハイブリッド構成をとる。
netXDCの強みは、マルチクラウド接続サービスである「SCNX(SCSK Cloud netXchange)」だ。特に印西キャンパスは、3つのパブリッククラウド(AWS・Azure・OCI)へのダイレクト接続ポイントを有し、セキュアかつ低遅延、高コストパフォーマンスなハイブリッド・マルチクラウド環境を容易に構築できる。加えて、GPU・HPCサーバー向けには、「高負荷ハウジングサービス」も展開中だ。
実際にハイブリットクラウド環境を構築した事例として、沖電気工業が挙げられる。同社は、2025年度末の現行データセンター閉鎖に伴い、AWSとUSiZEと、SCSKデータセンターを組み合わせたハイブリッドクラウド環境へ移行。複数の事業部にまたがる300以上のシステムの内、AWS移行が難しいシステムはUSiZEやSCSKデータセンターに配置することで、プロジェクトの半年以上の前倒しに成功している。
沖電気工業のAWS、USiZE、SCSKデータセンターによるハイブリッドクラウド環境(SCSKのWebサイトより)

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