国産7モデルを選定し、優れたモデルを2027年度に政府調達
18万人の政府職員で国産AIを使って・育てる デジ庁の行政AI「源内」は最終実証フェーズへ
2026年03月09日 10時00分更新
デジタル庁は、日本のAI利活用を促進すべく「まずは隗より始めよ」の観点で、同庁の全職員が利用できる生成AI利用環境「源内」を内製で構築している。そして、2026年度には、利用対象を約18万人の全府省庁職員にまで広げ、源内の大規模実証を開始する。
この大規模実証においては、「国産LLM」を試用し、その実用性や行政実務への適合性を評価して、国産AIの積極利用につなげていく意向だ。2026年3月6日には、源内で評価する7社の国産LLMも発表された。同日開催されたブリーフィングにて、デジタル庁の参事官である山口真吾氏は、「国産AIの育成・強化、民間投資の喚起、AIにおける日本の自律性確保を図っていきたい」と語った。
「まず隗より始めよ」のガバメントAI、全府省庁での最終実証フェーズに
政府自らのAI利活用を社会実装の起点としていく「ガバメントAI」プロジェクト。その一環としてデジタル庁は、生成AI利用環境である源内を内製開発している。この源内は、2025年5月からデジタル庁職員約1200人での試験利用を開始。さらに、2025年12月のAI戦略本部において、高市総理により「10万人以上の政府職員が源内を徹底活用できるようにする」という、政府の方針が示された。
そして今回、外局などを含めた39機関、全府省庁の約18万人の政府職員を対象に源内の大規模実証を開始することが公表された。「国家公務員の一般職が29万人いる中で、その半数以上が一斉にAIを使い始める」と山口氏。
この大規模実証は、2026年5月から2027年3月まで、2026年度を通して実施される。同時にデジタル庁は、2025年度の補正予算を用いて、源内の整備を進める。その内容は、UIの改修にはじまり、高度なAIアプリの開発やAIエージェント導入の準備、データセットの整備など多岐にわたる。
一方で、各府省庁には、源内の利活用を後押しし、ガバナンス体制を強化する役割が課せられる。さらに政府職員一人ひとりにも、自身の業務で源内を積極活用する姿勢が求められる。
こうした大規模実証を得て、2027年度から源内の本格運用が始まる予定だ。同年度以降は、AIアプリを強化しながら、AIエージェントの実装や源内のOSS化などを推進していく。
国産LLMを政府職員18万人で評価する“3つの狙い”
そしてもうひとつ、源内の本格運用に向けて進められるのが、「国産AIの育成・強化」の取り組みだ。国内の企業や組織が開発する国産LLMを試用し、その実用性や行政業務への適合性を評価していく。「日本語の意味や表現、日本の知識を学習した国産AIが重要になる中で、ガバメントAIで積極的に活用する方針」(山口氏)
この国産LLMは、2025年12月から2026年1月まで公募され、応募は計15件に上った。今回、以下の7社のモデルを選定したことを発表している。選定基準として、開発の経緯や方法、学習データに関する法令遵守の体制などが説明できること、行政実務において実用可能な性能を有し、評価テストやベンチマークテストをクリアしていることなどが挙げられている。
■選定された企業とモデル名
・NTTデータ「tsuzumi 2」
・カスタマークラウド「CC Gov-LLM」
・KDDI・ELYZA共同応募体「Llama-3.1-ELYZA-JP-70B」
・ソフトバンク「Sarashina2 mini」
・日本電気「cotomi v3」
・富士通「Takane 32B」
・Preferred Networks「PLaMo 2.0 Prime」
これらの国産LLMは、契約や技術調整を経て、8月頃から源内の大規模実証の中で評価される。なお、評価期間中は無償で試用できることが応募条件に盛り込まれている(ガバメントクラウドおよび推論に関する費用はデジタル庁が負担)。
こうした取り組みの狙いは3点ある。1つ目は、政府として安全・安心な国産AIを利用して、行政としての信頼性を確保することだ。
2つ目は、政府職員18万人という大規模なフィードバック環境を築いて、国産AIの性能向上につなげることだ。「ログの分析をしたり、職員からいいねボタンを押してもらったり、アンケート調査を行なったりという評価体制を考えている。国産LLMを提供する事業者からは、ユーザー評価の収集に苦労していると聞いている。政府自身でその仕組みを構築できるのではないか」と山口氏。
3つ目が、政府調達を通じて、国産AIに対する安定的な需要を創出することだ。
今後の流れとしては、2027年1月頃の評価結果の公表を経て、2027年度から優れたモデルを政府調達して、外資企業のLLMと共に利用していく。また本格利用においては、選定したLLMのアップデート対応や新規公募の検討も続ける予定であり、LLMの進化が著しい中で「柔軟性を持たせて取り組みたい」(山口氏)と語られた。










