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データセンター選びの新常識 ユーザーの課題に応える選択肢を探る 第3回

首都圏一極集中からの脱却 いま関西圏が熱い

もうバックアップサイトだけじゃない 今注目の大阪データセンター4選

2026年03月06日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 敷地や電力の不足、住民との調整の難航などで首都圏のデータセンターの成長が鈍化する中、注目を集めるのが関西圏のデータセンターだ。大阪市内に都市型データセンターが次々と増設され、彩都エリア、けいはんなエリア、茨木、南港などにも郊外型データセンターが次々と造られている。ここではその中心となる大阪のデータセンターと事業者を紹介する(関連記事:首都圏のデータセンター枯渇、電力コストの高騰、エンジニア不足 課題から考える最新データセンター選び)。

3000億円の投資で「国内外をつなぐ西日本のハブ」を目指す(オプテージ)

 ネットワーク接続性を重視した「コネクティビティデータセンター」を軸とする法人ビジネスを成長領域と見込み、2035年までに3000億円程度を投資すると発表した関西電力グループの通信事業者、オプテージ。データセンターの増設はもちろん、海外への海底ケーブル敷設プロジェクトにも参加していくという。

 そんなオプテージのフラグシップデータセンターとなるのが、2026年1月にオープンしたばかりの「オプテージ曽根崎データセンター(OC1)」だ(関連記事:オプテージが「曽根崎データセンター(OC1)」運用開始 さらに3000億円規模の投資計画も。東梅田に新設された地上14階建の免震構造建屋に、最大1200ラックを収容し、ハウジングやコロケーションを提供。最大電力容量7.4メガワットに対応する。ウェアラブルカメラを用いて作業の映像を遠隔で共有する「ライブオペレーション」、ラックの使用電力量や温度をリアルタイムに表示する「Live View」などユニークなサービスも追加されている(関連記事:人手不足のIT運用部門、その課題をOC1のデータセンター運用支援サービスが解決する

「オプテージ曽根崎データセンター(OC1)」

 オプテージが目指すコネクティビティデータセンターは、IXや通信事業者、ISP、メガクラウドなどを大阪市内で相互接続することで、西日本のユーザーに安定したサービスを提供する目的があるという。関西一円に自社光ファイバー網を持つ強みを活かし、堂島や心斎橋などにある他社主要データセンターとも自社ファイバーで接続済みで、顧客には短納期で接続サービスを提供する。

 さらに、曽根崎データセンターには国内IX3社が接続拠点を設置しているほか、ISPやDCI(データセンター間接続)事業者も誘致しており、これらの事業者とも短納期での接続が可能だ。そしてオプテージ自身も、OC1と首都圏のデータセンターを100/400GbpsでつなぐDCIサービスを発表している。

関西圏の一等地「堂島」を中心にしたネットワークの強さ(NTTスマートコネクト)

 NTT西日本の子会社であるNTTスマートコネクトは、国内の3大IX(JPNAP、BBIX、JPIX)や通信事業者、ISPなどが相互接続を行なう堂島を中心に、大阪市内に7つのデータセンターをかまえる。すべての拠点が最寄り駅から徒歩圏にあるが、データセンター内での作業を代行するリモートハンズサービスも充実している。

 2022年にオープンした曽根崎データセンターは免震構造を擁した堅牢なファシリティと1ラックあたり20kW以上の高負荷電力が売りとなっている。また、NTTグループが定める省エネ性能ガイドに基づき、PUEの向上にも取り組んでおり、曽根崎データセンターの床下配置型ファンでは従来に比べて消費電力50%の削減を実現している。

NTTスマートコネクトの「曽根崎データセンター」

 堅牢なNTTビル内にある堂島のデータセンター群と北浜、高津、日本橋、曽根崎の各データセンターは自社光ファイバーで相互接続でき、「堂島コネクト」と呼ばれるネットワークを構成している。「とう道」と呼ばれる通信専用トンネルを利用しており、災害等で高い信頼性を誇っている。データセンター間接続の強化も発表されており、関西圏のハブとなるデータセンターネットワークサービスとしても期待される。

シャープ工場の跡地にAIサーバーも稼働できる大阪堺データセンター開設(KDDI)

 データセンター運用で30年以上の知見を持つKDDIが、2026年1月から稼働したのが「大阪堺データセンター」になる。2025年4月に取得したシャープ堺工場跡地の大規模な電力・冷却設備を再利用。用地取得や他施設のデータセンターへの転用のノウハウを元に、新設工事を最低限に抑え、わずか半年で構築したという。

KDDIの「大阪堺データセンター」

 特徴はNVIDIA GB200 NVL72をはじめとした計算能力が高いAIサーバーの稼働を前提とした直接液体冷却の導入。KDDI Telehouse 渋谷データセンターで検証した水冷方式に特化した設備設計・運用に関するガイドラインを用いることで、安定して高度な計算能力を提供することが可能になっている。

 通信事業者ならではのネットワークも大きな売り。最大100Gbpsの広帯域なインターネット、セキュアな閉域網が利用可能で、広帯域でパブリッククラウドと閉域接続できるマルチクラウドゲートウェイも用意されている。国内運用によるデータのソブリン性(主権性)に配慮した管理体制もアピールされており、機密性の高いデータを国内に保持したままAIの学習や推論が可能になるという。

■関連サイト

AIでの利活用を前提した高密度電力が魅力(MCデジタルリアルティ)

 MCデジタルリアルティは、三菱商事と米Digital Realtyが対等出資で2017年に設立した新興データセンター事業者。米Digital Realtyは、世界14カ国・210カ所以上でデータセンターを保有・運用する米国の大手不動産投資信託(REIT)会社だ。現在は東京の三鷹に2棟、千葉県の印西に2棟のデータセンターを擁するほか、関西圏には「KIXキャンパス」と呼ばれるデータセンター群を保有する。

 大阪府茨木市・箕面市に位置するKIXキャンパスは、KIX10、KIX11、KIX12、KIX13の4棟が稼働しており、各データセンターが相互接続されている。大阪の中心部から約20km離れた標高約200mの安定した地盤上にデータセンターが設置されており、水害や地震の恐れが少ないというメリットを有する。後発の強みを活かし、建物はすべて免震構造を採用している。

4棟のデータセンターを抱えるKIXキャンパス

 AIでの利活用を前提とした高電力密度が同社の1つの売り。4つのデータセンターはラックあたり、平均8~9kW電力供給が可能で、キャンパス全体での電力容量は74MW超を計画している。また、最新のKIX13は「NVIDIA DGX H100」および「NVIDIA DGX Super POD」対応のデータセンターとしてNVIDIAより認証を受けている。

■関連サイト

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