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米本社CEOのクリアン氏、日本法人社長の斉藤氏が戦略を説明

「AI案件の獲得が高い伸び」 NetAppがデータ基盤へと事業拡大する理由

2026年02月13日 10時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 NetAppが、従来のストレージベンダーから、データ統合・活用を支援する「データ基盤企業」への事業拡大を加速している。同社CEOのジョージ・クリアン氏と日本法人で代表執行役員社長を務める斉藤千春氏が、2026年1月に開催された記者会見で、AI時代における事業戦略を語った。

ネットアップ 日本法人 代表執行役員社長の斉藤千春氏、NetApp CEOのジョージ・クリアン(George Kurian)氏

オールフラッシュで世界1位、クラウドは年間30%超成長

 冒頭、クリアン氏はNetAppの事業実績について説明した。「NetAppは過去数年にわたり、データストレージとデータ管理市場の将来性のある分野へとビジネスを変革し続けてきた」とクリアン氏。これには、オールフラッシュストレージのような市場の高成長分野への製品ポートフォリオのシフト、世界をリードするクラウドプロバイダーとのクラウドソリューション構築、データが存在する場所での高度なサイバー保護・サイバーレジリエンス技術の統合、そして、顧客がAIのような高度なアプリケーションでもデータを簡単に使えるようにすることが含まれる。

 その成果は出ている。オールフラッシュストレージ事業は好調で、世界1位のポジションを獲得し維持している。また日本でも、斉藤氏のリーダーシップの下、市場シェア1位のオールフラッシュストレージプロバイダーとなった。クラウド事業についても、「クラウドストレージ事業は年間30%以上の成長を続けている」とクリアン氏は胸を張る。クラウドパートナーと協業し、「顧客がクラウドベースのAIソリューションをデータと共に使用できるようにしている」という。

 またサイバーセキュリティ分野では、「自律的ランサムウェア保護や量子安全暗号メカニズムのような高度なサイバー保護メカニズムを統合し、業界をリードする認証グループから年間最優秀データ保護製品に選ばれた」と語る。

 こうした取り組みが、AI案件の獲得につながっているという。クリアン氏によると、「NetAppは現在、四半期あたりおよそ200件のAI案件を獲得している」という。これは、1年半前のおよそ4倍の件数に当たる。

ストレージから「データ統合・活用支援」へ事業領域を拡大

 NetAppは単なるストレージから、「NetApp ONTAP」をベースにデータ管理、セキュリティなど、ソフトウェア面での強化も進めている。今後、ITインフラ分野においてどんな立ち位置を目指しているのだろうか。

 クリアン氏にそう質問したところ、「長期的に見ると、ITインフラは、組織がデータを保管するあらゆる場所で統合される必要がある。ライフサイクル全体にわたって、データを保護・管理するためのインテリジェントサービスが必要だ。さらに、企業が持つ生データを“AI対応データ”に変換する仕組みも必要だと考える」と語る。つまり、そうしたインテリジェントなデータ基盤を顧客に提供していく、という立ち位置を取る戦略だ。

 もっとも、これは「方針転換」ではないという。「NetAppはこれまでも長年にわたり、顧客のデータを統合し、ビジネス改善に活用できるよう支援してきた」とクリアン氏は強調する。ユニファイドデータストレージ、ハイブリッドクラウドデータファブリックといったイノベーションを通じて「システムという概念を超えてデータを統合した」(クリアン氏)。

 そして、現在の同社は新たな段階に入っている。「いま、世界中の主要なクラウドにデータインフラを展開しており、より多くのソフトウェア機能を提供している。これにより、人々がそのデータをより安全に、より効率的に、そして世界で最も高度なアプリケーションのサポートを受けて使用できるようにしている」と語る。

 その一例が、2025年秋に発表した「NetApp AI Data Engine(AIDE)」だ。顧客が企業データを取得し、AI世界で一般的なLLM(大規模言語モデル)や推論モデル向けに、より効率的かつセキュアにデータを準備できるようにするソフトウェアだと説明する。

 まずは同時期に発表したAIワークロード向けストレージ「NetApp AFX」で利用できるが、将来的にはONTAPをサポートする予定という。また、オブジェクトストレージソリューションもAI Data Engineと統合していく計画だという。

 顧客調査の結果を見ても、AIDEの重要性は明らかだという。その調査結果によると、AIプロジェクトの85%の時間が、AIドリブンなビジネス課題解決に適したデータタイプの特定に費やされていることが分かったという。この結果を受けて、顧客への助言も明解だ。

 「AIをビジネスに活用したければ、データを整理し、安全にし、AI対応にすることが先決だ」(クリアン氏)

 クラウド上でのAIDE提供についても、ロードマップに入っているという。パートナーでもある他のデータ基盤ソフトウェアベンダーとの競合も考えられるが、この点については「顧客は複数の技術を統合したソリューションを求めていると信じている」と述べ、協業していく姿勢を見せた。

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