ASCII Power Review 第305回
フラッグシップのα1を超えた機能もありました
これが2026年のソニーαの基本モデルだ!!=新3300万画素センサーで毎秒30コマになった「α7Ⅴ」実写レビュー
2025年12月29日 00時30分更新
ソニーからフルサイズミラーレス機の新製品「α7Ⅴ」が発売された。αシリーズのなかでは無印と呼ばれるスタンダードモデルである。
歴代では世界初のフルサイズミラーレス機として登場した初代「α7」(2013年発売)や、一眼レフからの移行を爆発的に加速させた「α7Ⅲ」(2018年発売でいまだに現行モデル)など名機が並ぶ。
前モデル「α7Ⅳ」から4年振りのモデルチェンジで、撮像素子も刷新されており、どのように進化したのか楽しみだ。ソニーから試用機を借りたので、実写レビューをしていこう。
基本デザインはα7Ⅳと同じ
背面ディスプレーは「4軸マルチアングル方式」に
まずはボディー周りから。かつては代を重ねる度に数々の改良がみられたが、今回はデザインや操作ボタン類の配置などに大きな変更はなく前モデルと同等だ。それだけ現在のボディー形状は完成度が高いということだろう。
それでもいつくか進化した点はあり、ひとつはグリップのホールド感。見た目ではわかりにくいが、わずかに細身で奥行のある形状になり、手にして見ると明らかに前モデルより握りやすく感じた。
背面液晶も上位モデルに採用されている「4軸マルチアングル方式」が搭載された。レンズ光軸上で視認できる上方98°下方40°のチルト式と、180°回転するバリアングル式を組み合わせた現状である。現在、もっとも理想的な可動方式で、自撮りもできるし、側面端子にケーブルを装着して撮影する際もスムーズに可動できるというメリットがある。
側面端子では「マルチ/マイクロUSB端子」が廃止され、USBのTypeC端子2基に変更になった。1基は従来と同じくUSB3.2で主にデータ転送に使用し、新設された端子はUSB2.0だがPDに対応しているので給電用として使うことができる。
EVFのスペックは368万ドット倍率0.78倍。メディアスロットも片側のみCFexpress TypeAが使用可能なSDのディアル(両スロットともUHS-Ⅱ対応)と変わらない。
バッテリーも引き続きαシリーズでは定番の「NP-FZ100」だが、画像処理エンジンの改良で公称撮影可能枚数が520枚から630枚(ファインダー撮影時)に向上。実際に日をまたいで2日間にRAW+JPEGで192カット、RAWの連写で382カットの計768枚撮影した時点で残36%となかなかのスタミナだった。
新「部分積層型」撮像素子を搭載で秒30コマ連写
「プリ撮影」・「連写速度ブースト」も搭載
撮像素子の画素数は3300万画素と変わりはないが、高速処理が可能な部分積層型を採用し、電子シャッターではフラッグシップモデル「α1Ⅱ」と同等のブラックアウトフリーでAF/AE追随最高秒30コマの連写が可能になった。ただし秒30コマはレンズが対応している必要があり、メカシャッターでは最高秒10コマになる。
UHS-Ⅱ対応SDでバッファ詰まりを起こすまでの連続撮影枚数を実測すると、JPEG-Lサイズのエクストラファインで93枚、ファインでは143枚。RAWはロスレス圧縮や圧縮(画質優先) では37枚だったが、もっとも軽量な圧縮RAWなら89枚を撮影することできた。
さらにシャッターボタンを押す直前までさかのぼって記録できる「プリ撮影」や、一時的に連写速度をアップさせる「連写速度ブースト」など連写撮影をアシストする機能も搭載された。
AFも最新のαシリーズではお馴染みのAIプロセッシングユニットで、すべての対象(人物、動物、鳥、昆虫、車/列車、飛行機)を自動で認識してくれる。実際に飛び回る野鳥を撮影してみると、遠景で被写体が小さいと少し認識しにくい時もあったが、一度認識してからの粘り強い追随は上位モデルと遜色がないように感じられた。
被写体認識オートで撮影。これくらいのサイズ感ならしっかり認識してくれる。使用レンズFE100-400mmF4.5-5.6・焦点距離400mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/2500秒・ISO1600。
(以下作例はクリックで実物大表示になります)
動きが速かったせいか少し後ピンになっているが、この後のカットではしっかり顔にピントが合っていた。使用レンズFE100-400mmF4.5-5.6・焦点距離400mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/2500秒・ISO1600。
水面で羽をバタつかせている鴨を秒30コア連写で撮影したなかの1枚。使用レンズFE100-400mmF4.5-5.6・焦点距離400mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/4000秒・ISO1600。
動体歪みは部分積層型なので多少は発生するが、それでも前モデルの電子シャッターよりは抑えられている。
画質面では最大約16ストップのダイナミックレンジがアピールされている。前モデルの画質も優秀だったので格段な差を感じるほどではないが、細部の解像感や滑らかな階調再現で満足できる画質だ。
コントラストは強調しすぎず、そのぶん滑らかな写り。使用レンズFE24-105mmF4・焦点距離24mm・絞りF8・シャッタースピード1/250秒・ISO100。
(以下の設定は共通。JPEGエクストラファイン・ホワイトバランスオート・Dレンジオプティマイザーオート・クリエイティブルックスタンダード)
高感度も常用最高ISO5万1200、拡張で20万4800と変わらず。1万2800を超えたあたりからノイズ処理が少し強めに感じられるが2万5600までは実用範囲。細部に目をつぶれば拡張10万2400程度までは許容できそうだ。
なお最大約16ストップのダイナミックレンジはメカシャッター時との注記がある。ということは電子シャッターとの違いが気になるところだが、明暗差の階調では明らかな違いはなかった。高感度画質も常用最高5万1200以上ではノイズが増加しているが、その差はわずかなので気にするレベルではないように思う。
メカシャッター(電子先幕)と電子シャッターの高感度撮影した写真の一部を拡大して比較。ともに左上からISO6400・12800・25600・51200・以下拡張感度102400・204800。ノイズ処理は標準。こちらはメカシャッター。
「コンポジットRAW」・「エクステンデッドRAW」が可能
フルサイズミラーレス機の新スタンダードだ
また現状ではフラッグシップモデルのみ可能な「コンポジットRAW」と「エクステンデッドRAW」という新機能も搭載。ともに処理には専用ソフト「Imaging Edge Desktop」が必要だ
「コンポジットRAW」は1度の撮影で連写(4・8・16枚から選択)した画像を合成する機能で、ノイズ低減とHDRが選択可能だ。「エクステンデッドRAW」は現像時にノイズ低減や解像度を拡大することができる。
ただ「コンポジットRAW」は効果が控えめで、「エクステンデッドRAW」も一般的な現像ソフトのAI処理と比べてしまうと微妙だった。これらはソフトの進化で向上していくものなので、今度に期待したい。

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