MSI「Claw A8 BZ2EM」レビュー
15万円でここまで快適プレイ!Ryzen Z2 Extreme搭載ポータブルゲーミングPCの実力を検証。ジャンル別の設定も教えます
この状態でキーボード入力もできるし画面も見やすくなった。しかし本格的にClaw A8 BZ2EMを使い倒すなら、もっと大きな画面がほしい。外部ディスプレイ(やテレビ)に接続したほうが快適だ。Claw A8 BZ2EMのUSB4端子は映像出力にも対応している。USB Type-C対応のディスプレイならUSB Type-Cケーブル(ただし映像対応であることを要確認)で、ほかはUSB Type-C→HDMI(あるいはDisplay Port)変換ケーブルを使って接続することになる。こうなると本体上にもディスプレイがあるものの、ミニPC的な使い方だ。
もうひとつUSB機器を接続したいといった時のことを考えよう。USB PD充電と映像出力で2つのポートはすでに埋まっている。USBポートを増やす必要がある。ただし、ならシンプルにUSBハブでよいのかというとそうではない。USBハブはポート数を増やせるものの、USB PDや映像出力に対応していない。これらに対応した「USBドック」がないと、同時使用ができない点に注意しよう。まあ、USBドックを使えばケーブル1本着脱するだけで済むので単純に利便性が向上する。Claw A8 BZ2EMユーザーは備えておいて損はない。
USBドックは必須。USB PD充電とHDMI出力、外部ストレージなどをまとめて着脱でき、Claw A8 BZ2EMをより快適に活用できるようになる。※写真のUSBドックはUSB PDパススルー対応、映像出力非対応なのであくまで使用イメージです
テレビに出力してみた使い勝手を述べておこう。キーボード&マウスも接続できているので、使用感はミニPCと変わらない。手元の本体ディスプレイは、たとえばWebブラウザやSNSアプリなどを表示させておくとタッチ操作が快適だ。ミニPC+αといった感がある。
とはいえこの方法でいちばん快適に感じたのがゲーム。まず、キー&マウ派はなんだかんだ慣れたデバイスで操作できる点で違和感なくスムーズだ。その上で、ゲーム画面をテレビに、本体ディスプレイにはDiscordなどチャットアプリを表示といった使い方が可能になるのでゲーム用途でも便利だ。いくつか手順があって、ひとつはWindowsの「ディスプレイ設定」からテレビ側を選び「これをメインディスプレイにする」にチェックすることで、ゲームを表示するデフォルト画面をテレビ側に指定する。もうひとつ、本体ディスプレイに表示したブラウザやアプリを操作した際、ゲームがフルスクリーン表示だとゲーム画面が閉じてしまうのでボーダーレス表示を指定する。参考になれば幸いだ。なお、マイクラの作り方動画を見ながら、タッチ操作で一時停止や巻き戻し、ゲーム上でそのとおり作っていくというのがアリだと思った。まあ、タッチ操作の時点で画面フォーカスとマウスカーソルが横取りされるので理想どおりとはいかないが、通常のマルチモニタ時よりは操作しやすかった。
ゲーム以外でテレビの大画面に映すと言えばやはりエンターテインメント系も。動画視聴や写真の閲覧が相性よいと思う。ケーブル長次第だが、たとえば就寝前に映画を見るような時、テレビに映し出しつつ本体画面でタイムスライダーをタッチ操作できるのは便利。また、隣の部屋への音漏れを気にするような時も、テレビ側ではなく手元の本体スピーカーから出力するといった切り換え(Windowsの機能)がタッチ操作で可能だ。個人的な意見だが、YouTubeやTwitchなどで配信を見る時、チャット欄の使いやすさはスマホ版よりもPCブラウザ版のほうが優れていると思う。
ゲーミングのサブ機としては断然アリ
ベンチマークのとおり、Claw A8 BZ2EMは確かにポータブルゲーミングPCだ。ただし、たとえば自宅にメインとなるゲーミングPC(デスクトップPCでもノートPCでもよい)があり、サブとしてClaw A8 BZ2EMを使うのが正しい使い方だろう。椅子に座って高画質、高解像度でゲームしたい時もあれば、ソファやベッドで横になりながらゲームをしたい時もある。そうしたサブ機の位置づけだと、たとえより高性能でもメインPC並みの20万円、30万円だったら手を出しづらい。Claw A8 BZ2EMの15万円ならゲームが好きで少し余裕のある大人の心に刺さるだろう。
一方、Claw A8 BZ2EMはPCなので、そのスペック内でPC同等の汎用性がある。ゲームのためだけの15万円のPCだが、ほかの用途でも使えるなら多少のうしろめたさも和らぐ。ここではテレビとつないだエンターテインメント用途をプライベートルーム想定で提案したが、スペックがハイエンドモバイルノートPC相当なので、ハイエンドモバイルノートPCにできることはほぼ可能と考えてよい。キーボードやマウス、外部ディスプレイなど追加の機器は必要だが、ホームビデオの編集もできるだろう。写真補正もできるだろう。「こんな用途でけっこう使える」というのがまだまだあるだろう。新たな発見をした方はぜひSNSなどで紹介してほしい。





