「酢醤油とからしはおつけしますか?」
冬に食べたい「肉まん」。そのまま食べるだろうか? それとも何かをつけるだろうか?
広島に出張へ行った。広島には何度も行っているが、今回は日中、食事をとる時間がほとんどなかったので、コンビニで肉まんを購入。そうしたところ、店員さんからこんな質問を受けた。
「酢醤油とからしは、おつけしますか?」
「……酢醤油と、からしですか?」
意図しない質問を受けて、思わず言葉を反復してしまった。
「はい。酢醤油とからしです」
「ください。酢醤油とからし」
こうして私は酢醤油とからしを入手した。
実際に食べてみると、酢醤油とからしは驚くほど肉まんと相性が良かった。考えてみれば、皮の厚みや、食材や香辛料のバランスに違いはあるものの、同じような材料で作られ、同じような構造を持つ餃子も、酢醤油とラー油で食べる。味の組み合わせとして自然だ。
なるほど、これが“酢醤油とからし”をつけて食べる肉まんの味か。そう思いながら、私は取材会場へ急いだのであった。
おもしろい食文化のバリエーション
地域によって食べ方に差があるのは、日本の食文化の面白い一面だ。
一説によれば、肉まんに酢醤油とからしをつける食べ方は、かつて中国から包子(パオズ:皮で餡を包んだ料理全般)が伝来した際に、黒酢をつけて食べるという文化と共に伝わった名残であるらしい。このため、いまでも九州や四国、中国地方では、肉まんを購入すると「からしと酢醤油」がついてくることが定番であるようだ。
それにしても、出張や旅行で西日本には何度も行っているのに、これまで気づかなかった。なぜかと考えてみれば、「旅先のコンビニや商店で肉まんを購入する」という経験は初めてだったのである。遠くへ行けば、「何かしら、旅先を象徴するものを食べたい」と思って、どこかのお店で食事を済ませてきた。
同行したカメラマン・Tさんに「Tさん。肉まん買ったら、酢醤油とからし、もらえたんですけど!」と言ったら「ああ、酢醤油とからしね! 肉まんにつけて食べるんでしょ!」と言っていた。彼は知っていたようだ。
肉まんの食べ方一つでも、発想の違いやローカルの文化が見える──時間がなくて飛び込んだコンビニで知った、思いがけない発見であった。
読者の皆さんの「定番の肉まんの食べ方」は?










