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新AI機能「PDFスペース」が便利な「Acrobat Studio」登場! さっそく使ってみたゾ

2025年12月10日 11時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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 日本語版がリリースされた「Acrobat Studio」をさっそくレビューする。新機能の「PDFスペース」はどのような使い勝手になるのか、Acrobat AIアシスタントをコンテンツ作りにどのように活かせるのか、そしてビジネスプロフェッショナルにAcrobat Studioはどのようなメリットを提供してくれるのだろうか?

「Acrobat Studio」日本語版がリリース その実力は?

 アドビの新プラットフォーム「Acrobat Studio」日本語版の提供が開始された。米国ではすでにリリース済みの新機能で、月額1980円のAcrobat Pro、月額680円のAIアシスタント、月額1180円のAdobe Express プレミアムプラン、そして新機能の「PDFスペース」が利用できる。

 「PDFスペース」は複数のPDFやウェブサイトなどのドキュメントをひとつのワークスペースに登録し、エージェント型AIアシスタントを使って自然言語で内容に関して質問できる機能。一言でいえば、Googleの「NotebookLM」のような機能だ。

 例えば、「PDFスペース」に特定のテーマに関する資料やメモ、書きかけのWord、YouTubeの解説動画などをまとめて登録し、内容に関して質問したり、要約させたりできる。一般的な、ChatGPTやGeminiといった生成AIだと、資料にない情報を出力することもあるが、「PDFスペース」ならソースの中から回答してくれるのでハルシネーションが起こりにくいというメリットがある。

 まずは、単一の論文ファイルを登録して、概要を説明してもらおう。「Acrobat Studio」を開き、左上のPDFスペースから「ファイルを選択」をクリック。PDF、DOCX、PPTX、TXT、RTF、XLSX、VTT形式などのファイル、OneDriveやGoogleドライブ、アドビクラウドストレージ内のクラウドファイル、URL、テキストなどを登録しよう。最大100ファイルまで登録でき、最大ファイルサイズは100MB、600ページまでとなる。

「Acrobat Studio」のメイン画面。左上のPDFスペースから「ファイルを選択」をクリックする

ファイルやURL、テキストなどを追加する

ソースを追加したら「PDFスペースを作成」をクリック

 PDFスペースが作成されると、チャットで質問や指示を入力できるようになる。左側にはソースの一覧が表示され、いつでも追加や削除ができる。右側には要約が表示され、プロンプトを入力できる。

作成されたPDFスペース

 今回は、英語の論文を読み込ませたので、「高校生にもわかるように、日本語で論文の内容を解説してください」と入力してみた。すると、10数秒で概要をわかりやすく表示してくれる。指示通りに高校生向けのカジュアルなトーンになっているのも○。

 出力のソースになった部分にリンクが貼られており、クリックするとPDFの該当部分が囲まれて表示される。ここが「PDFスペース」の凄いポイント。簡単にファクトチェックが行えるのだ。

 「NotebookLM」ももちろん出典リンクは付いているが、クリックしてもテキストのみが表示される。「NotebookLM」はソースを登録する際に、データをテキスト化してしまい、PDFそのものを扱うことができないためだ。

登録したソースを参照し、回答を生成してくれる

出典のリンクをクリックすると、PDFの該当部分が表示される

NotebookLMの場合は、テキストのみがソースとして表示される

アシスタントの口調や性格もカスタマイズできる

 アシスタントの口調を変えることもできる。たとえば、「Analyst」なら、「資料を分析的かつ建設的に捉え、異なる視点を矛盾としてではなく、思考を広げる機会として捉える」、「Entertainer」なら「温かく、ウィットに富み、気分を高揚させるような口調で、回答をつなぎ言葉で始めない」、「Instructor」なら「シンプルで平易な言葉を使用し、読者の興味を引きつけ、モチベーションを維持できるよう、回答全体を通して励ましの言葉遣いを丁寧にしてください」といった性格が設定されている。必要に応じて切り替えるといいだろう。

AIアシスタント選択メニューから好みの口調を選ぶ

「Entertainer」はカジュアルでハイテンションな口調になる

 アシスタントの性格をカスタムすることも可能。AIアシスタント選択メニューから「AIアシスタント」を選ぶと作成画面が開くので、名前や説明、指示するためのプロンプトを入力する。プロンプトは説明を参照してAIが作ってくれるので、ユーザーは内容を確認するだけでOK。「保存して適用」をクリックすれば、次の会話から反映される。ここでは、わざとらしく犬のキャラクター設定にして、語尾に「わん」を付けるようにしてみた。

 ちなみに、作成した「PDFスペース」やAIアシスタントは他のユーザーと共有することもできる。社内資料をまとめた「PDFスペース」を作っておけば、質問者と総務の両方の手間を省くことができるのでお勧めだ。

「AIアシスタント」を選ぶと、オリジナルの設定が行える

お堅い社内窓口も自分の好みの口調にカスタマイズできる

 「PDFスペース」はクラウドのAIを利用しているが、やり取りの履歴は学習に利用されない。ちなみに、その時に最適なAIモデルを選ぶそうで、現在はOpenAIのAIモデルを利用しているとのこと。

 気になる価格は、個人向けプランが月額3300円、チーム向けプランが月額3960円となっている。「Acrobat Studio」プランを契約すると、Acrobat Proをはじめ、Acrobat AI アシスタント、PDF スペース、Adobe Expressのプレミアムプランの全機能が利用可能になる。

 フル機能が使える7日間の無料トライアルが用意されているので、ぜひ触ってみてほしい。AIアシスタントやAdobe Expressプレミアムも嬉しいのだが、何より「PDFスペース」の便利さに驚くこと請け合いだ。

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