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ユニバーサルコミュニケーション技術のショーケース「みるTech」レポート

音を見て、感じるテクノロジーが集結 デフリンピックから広がる“誰もがつながる世界”

2025年11月21日 11時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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音や手話通訳を見るメガネや点字用アナウンスアプリ、家から仕事ができる遠隔ロボットまで

 オンテロープの「ONTELOPE Glass(オンテロープ・グラス)」は、音を目で見える光に変えるメガネだ。音の大きさや高さ、時間変化といった、脳が音を処理する仕組みをそのままに、光へと変換する。

 聴覚障がいを持つ人が、家電の動作音やクラクションなどの“必要な音”を認識できるほか、聴者も日常音や音楽を見るという新しい体験を得られる。2025年11月のクラウドファンディングでは、開始からわずか1日で目標を達成しており、既に量産化が決定している。

ONTELOPE Glass(Webサイト

 サイナーズの「補聴グラス」は、リアルタイムで手話映像を映し出すARメガネだ。開発の背景には、自治体による施策の不十分さ、報酬の低さなどから手話通訳者が不足する現状がある。そこで、メガネとセットで「オンデマンド手話通訳サービス」を準備中であり、フリーランスの手話通訳者をマッチングさせる個人向けの遠隔手話プラットフォームを立ち上げる。手話通訳者は、自宅からすき間時間などに通訳することが可能だ。

 現在、福祉機器としての認定を受け、通訳派遣に補助金を活用できないかロビイング活動を展開中だ。「手話は方言があったり、男性と女性、年齢でも異なる。普段利用する手話表現に、通訳者を自動でマッチさせる仕組みがほぼ出来上がっている」という。

補聴グラス(Webサイト

 ソフトバンクのSureTalkは、手話言語と音声をリアルタイムにテキスト変換し、画面を通じて会話ができるサービスだ。手話認識は、AIに動画を学習させることで実現。デフリンピックを機に、日本の手話言語と外国の手話言語(国際手話・アメリカ手話言語)、外国の手話言語と日本語の音声の組み合わせにも対応した。自治体や病院などの公共施設や宿泊施設などで導入が進んでいるという。

SureTalk(Webサイト

 視覚障がい者向けの技術も展示されている。リンクスの開発した「shikAI(シカイ)」は、点字ブロック用のカーナビのようなアプリ。駅構内の点字ブロックに貼ったQRコードをアプリで読み取ることで、目的地までの移動ルートを音声と振動で伝える。大手町駅など東京メトロの一部の駅で対応しているほか、大阪万博の会場にも導入されたという。

shikAI(Webサイト

 みるTechの入り口で出迎えるのが、オリィ研究所の分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」だ。AIではなく、遠隔地から操作する人(パイロット)が動かすロボットで、パイロットはロボットを通じてリアルタイムで周りを見渡したり、会話したりすることができる。

 すでに、闘病や子育て、単身赴任などで移動が制限される人が、OriHimeを経由して働いたり、旅行に参加したりすることが実現している。筆者には、OriHimeの公認パイロットであり、長年車椅子生活を送るカズーさんが、和歌山県からサービス説明をしてくれた。

OriHime(Webサイト

手話が共通言語の店舗を運営するスターバックスはコーヒーの無料配布も(数量限定)

「どこでもバンジーVR」などVR系コンテンツも体験できる

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