ポイント2:子ども心に刺さる、研究者ロールプレイ
次はシステム面の魅力だ。たまごっちパラダイスには、単体で「ブリード」(他のたまごっちとの交配)ができ、子世代には、親世代の“形質遺伝”が見られるという、非常にリアルな体験が用意されている。遊びながら「生物の遺伝の仕組み」に自然に触れられる設計だ。
たとえば、本来は白い体色のたまごっちと、もともとピンク色のたまごっちをブリードすると、白い系統からも特異的にピンク色の個体が生まれることがある。あるいは“目の形”などの特徴も子世代に受け継がれる場合があり、遺伝の仕組みを直感的に体験できる。
また、進化ルートを左右するファクターのひとつである「餌」は、ゲームやショップでの買い物を通じて手に入れることができる。この「自分の操作によって、世界が広がっていく感覚」からは、研究者ロールプレイの楽しさを強く感じられる。
ポイント3:お店で買える小宇宙としての魅力
最後は、世代をまたいだコミュニケーションアイテムとしての魅力だ。
デジタル全盛の現代、子どもとゲームや動画サービスとの距離感に悩み、そのバランスを見極めるのが難しい親世代も多いと考える。そんな親世代にとって、たまごっちパラダイスは「安心して子どもに遊んでもらえるデジタル玩具」「子どもと一緒に遊べるデジタル玩具」としても魅力的に映るようだ。
これはまさに、メーカーが「幅広い層に愛されるIP」と表現するたまごっちの性質が、最新作のたまごっちパラダイスという玩具そのものに集約されていることを示している。
育成システムやミニゲーム、採集や観察など、内蔵する要素のすべてはシンプルで奥深く、子と親が一緒に遊べる直感的な楽しさがある。ミクロとマクロを行き来する視点設計は、物事の関係性を捉えたり、問題発生時の要因を探ったりする行動を自然と引き出してくれる。
より簡潔に言えば、「世代を問わず一緒に遊べて、気付き・発見の楽しさも味わえるアイテム」なのだ。
手に取り、回して、観察して──触れるたびに発見と楽しさが広がるたまごっちパラダイスの世界は、たまごっちのIPとしての成長と、初代から続く「育てる喜び」が見事に融合し、令和の感覚にフィットした名作玩具だ。










