脳にチップを埋め込む技術──これは、遠い未来の話ではなく、現実として動き始めている。
人間の脳へデバイス埋め込み、Neuralinkの臨床試験が本格化
イーロン・マスク氏が率いる米Neuralinkが、人間への臨床的なデバイスの埋め込みを本格化させている。
米メディア報道によれば、Neuralinkは2023年5月に米国食品医薬品局(FDA)から臨床試験の許可を受けたと報じられており、2023年9月にはその旨を公表した。
その後、現時点(2025年9月時点)で12人が同社の脳へのインプラントの埋め込みを受けたとされており、被験者たちによる「思考によるデバイス操作」の試験も進行している。
コア技術「ブレイン・コンピューター・インターフェース」
同社が開発を進めているのは「ブレイン・コンピューター・インターフェース」と呼ばれる技術だ。
これは、コイン程度の大きさの「インプラント」を脳に埋め込むもので、インプラントから伸びるごく細い電極を脳内に挿入し、ニューロンの活動を記録・刺激することを目指している。
インプラントそのものだけでなく、ロボットによる手術で、精密にインプラントの埋め込みを行なう技術の開発も進行している。
Neuralinkが描く未来とは?
人間の脳へとデバイスを埋め込むNeuralinkの発想は、どんな未来を目指しているのだろうか?
当面の実用化目標として、同社は四肢麻痺や言語不能など重度の神経障害者が、意思をコンピューターやデバイスに伝えて身体機能を補完できる可能性などを示している。
具体例として、現在は発話困難者を対象に、脳からの入力を直接テキスト化/音声化する技術の開発に取り組んでいるようだ。
本質的には、Neuralinkの技術は脳からの情報をデータとして扱うことを可能にするもので、将来的に人間の思考や感覚を活用するテクノロジービジネスにつながる可能性もあるだろう。










