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KEF、新アクティブスピーカー「Coda W」を発表 12万円台でHi-Fiの世界へ

2025年10月21日 16時00分更新

文● HK 編集●ASCII

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 イギリスのHi-FiスピーカーブランドのKEFは10月21日、アクティブスピーカーの新製品「Coda W」を発表した。価格は12万9800円(ペア)。10月28日の発売を予定している。

Coda W

低価格かつ高音質で歴史ある「ハイコスパ」スピーカーの現代版

 Codaは1971年に初代機が登場。高音質をリーゾナブルな価格で提供することを目指して企画され、KEFの歴史においてもエントリーユーザーを本格的なHi-Fiオーディオの世界へと導く製品として「重要な役割」を果たしてきたという。特に1990年代に登場した「Coda7」は、長期にわたってセールスの上位を占める人気機種となったが、これを境にその系譜が長く途切れてしまった状況でもあった。

 Coda Wは、Codaのこうしたコンセプトを現代的に解釈し、ほぼ30年ぶりに復活させた新機種だ。かつてのCodaは駆動にアンプが必要なパッシブタイプだったが、Coda WはDACや本体にアンプを内蔵したフルアクティブ方式のスピーカーになっている。シンプルかつコンパクトに高音質を得られるのも注目ポイントだ。

 PC接続用のUSB入力、テレビと接続するためのHDMI入力、さまざまなオーディオ機器と接続するためのアナログ/デジタル入力も持つ。機種名の「W」はWirelessを示し、Bluetoothのワイヤレス接続も可能な製品になっている。

ターンテーブルを直結し、すぐにレコードを楽しめるスピーカー

 Coda Wの入力端子は多彩だ。PCやタブレットなどと接続できるUSB-C端子は最大192kHz/24bitの入力に対応(内部的な処理は96kHz/24bit)。ほかにもHDMI、光/同軸デジタル、アナログのLINE入力を備えている。テレビサイドに置いて使ったり、他の機器を用意せずにゲーム機やCDプレーヤーの音を楽しめるのが魅力だ。

 Bluetoothは最新のバージョン5.4で、SBC、AACのほか、aptX AdaptiveやaptX Losslessコーデックを使ったハイレゾワイヤレスの伝送にも対応する。

 特に面白いのはレコードプレーヤーを接続するためのPHONO端子も装備している点だ。PHONO端子はLINE入力とは独立して用意しており、MMカートリッジに対応。フォノイコライザーを持たないターンテーブルも本機に直結して、ミニマムなレコード再生システムを組めるようになっている。

 ここは近年リリースが増え、注目度も高まっているアナログレコード再生に新しく挑戦してみたいという人だけでなく、往年のオーディオファンがターンテーブルに久しぶりに電源を入れて、レコードを楽しみたいと思った場合にも便利に感じる点ではないだろうか。

 このようにCoda Wはストリーミングやファイル再生といったデジタル再生に強いオーディオ機器であると同時に、レコードに代表されるアナログオーディオの再生も楽しめる。いわば「デジタルとアナログの架け橋となる機種」になっている。小型のブックシェルフだが、サブウーファー出力も装備している。用途に応じて拡張していく楽しみを持っているのが魅力的だ。

国内発表に合わせて実施された試聴会では、REGAのプレーヤーと組み合わせたデモも実施。アナログのプリアンプでゲイン調整をした後にA/D変換し、デジタル領域でRIAAカーブなどの補正やDSP処理を施すする仕組みだという。

最新世代のUni-Qドライバーは空間表現にも優れる

 仕様を詳しく見ていこう。音質の肝となるドライバーは、KEFオリジナルの同軸タイプユニット(第12世代のUni-Qドライバー)を採用。構成としては25mmのアルミニウムドーム型ツィーターと130mmのマグネシウム/アルミ合金製のウーファーを組み合わせた2ウェイスピーカーとなっている。

ドライバーには現在のKEFを象徴する同軸ユニット「Uni-Q」の最新版(第12世代)を採用している。

 第12世代のUni-Qドライバーは上位機種となる「LS50 Meta」なども採用している最新世代。Uni-Qドライバーは指向性が広く、定位感に優れているのが特徴。このためスイートスポットが広く、部屋のさまざまな場所から聞いても空間に音像が浮き上がるような感覚が味わえるのが魅力だ。

 Coda WはこのLS50シリーズに搭載したユニットのエッセンスを取り入れながら、音質と製造コストのバランスの最適化を図っているという。中域ユニットのモーター(駆動部分)などは同様のものとなっていて、明瞭で伸びやかな中音域の表現が売りとなっている。高域ユニットの歪みを減らすため、その裏側に配置されていたメタマテリアルはコストのバランスを取るため省略している。小型スピーカーのため低域再生には制約があるが、ポートチューニングを低い帯域に設定し、芯の通った低域が楽しめるようになっている。

Uni-Qはツィーター(中央部)とウーファー(周辺部)を同心円状に配置した同軸ドライバーの一種だ。

 デジタル処理の部分では、KEF独自のDSPアルゴリズム「Music Integrity Engine(MIE)」を踏襲。素性のいいユニットの搭載だけでなく、デジタルクロスオーバーの設計や低域の調整などで特性に合わせた最適化を施してユニットの性能を引き出せるようにしている。

 内蔵するClass Dアンプの数は合計8基(高域・中低域のドライバーそれぞれに対して2基使用)。最大200W(低域70W+70W、高域30W+30W)の出力と最大102dB SPLの音圧が得られる。

 操作には本体上部のタッチセンサー、付属のリモコンに加え、専用アプリ「KEF Control App」も利用できる。アプリでは、入力切り替え、音量調整、EQ設定、電源のON/OFFに加え、サブウーファーに出力する際のクロスオーバー設定なども可能となっている。上位機種とは異なり、Wi-Fiスピーカーではないが、アプリは「LS50 Wireless II」「LSX II」「LSXII LT」と同じものにしている。管理がシンプルなのもメリットと言えるだろう。

カラフルだが落ち着きを持ったデザインも好印象

 デザイン面では、モダンクラシックを意識したシンプルでコンパクトな外観を採用している。本体サイズは幅168×高さ285×奥行き258mmで、重量は1セットで11.3kgと軽くなっている。形としては箱型のオーソドックスなもので、背面は少しカーブを描いている。

 5色のカラーバリエーションが揃っており、部屋の雰囲気に合ったものを選んで設置できる。カラフルではあるが全体に彩度が低い色味なので、様々なリビングに合わせやすく、悪目立ちすることなくちょっとしたアクセントを楽しめる。

 電源はプライマリースピーカーのみが搭載する。KEFは左右それぞれに電源を内蔵している「LSX II」を「LSXII LT」で片側のみにしたが、ユーザーからの大きな不満は出ず市場で受け入れてもらえた。そこでCoda Wも同様の仕様にしたという。

 片側の電源にするメリットは低コスト化だけでなく、電源コンセントにつなぐケーブルが1本にできるという点にもある。KEFのワイヤレススピーカーはアプリの設定で左右を入れ替えることもできるので、電源位置に合わせてシンプルな設置ができ、柔軟なレイアウトに対応できるようになるわけだ。

 なお、左右のスピーカーをつなぐUSB-Cケーブルが必要になるが、USB-Cケーブルはセカンダリースピーカーへの電源供給も兼ねている。標準では3mだが、2台のスピーカーを離して置きたいというニーズに応えらえるよう、最大8mまで延長できる「C-Link cable」(別売8800円)も用意されている。

キャビネットのカラーバリエーションは5色だ。

それぞれビンテージバーガンティ、ニッケルグレー、モスグリーン、ミッドナイトブルー、ダークチタニウムと命名されている。

製品の特徴はR&Dチームを代表してイギリスからジョージ・パーキンス氏が来日して解説した。日本市場を重視している証だろう。

LSXIIや後方にあるMUON(ペア2310万円)なども採用しているUni-QドライバーはKEFオリジナルの同軸ユニットだ。

プライマリースピーカーの背面には豊富なデジタル/アナログの入力端子が用意されている。右にあるリモコンでも操作可能。

上部にはタッチセンサーもあり、音量調節やソースの切り替えが可能となっている。

 Coda Wは、Bluetoothスピーカーでありながら“Hi-Fiの入門機”としての完成度を追求したモデル。ストリーミングからレコード再生まで幅広いソースに対応し、オーディオファンはもちろん、テレビやPCのサウンド強化を狙うユーザーにとっても注目の製品となりそうだ。

 発表会には本国から開発担当のジョージ・パーキンス氏が来日。製品の詳細について解説した。また、KEF JAPANのコマーシャルディレクターの福島真澄氏も登壇し、「より多くの人にHi-Fiの世界に触れてもらうことを目指しつつ、エントリークラスだからといって妥協はしない」と強調。

 2025年のKEFはCoda W以外にもサウンドバーの「XIO」、Nothingとコラボした「Headphone (1)」など、ユーザーの裾野を広げるための製品が相次いで登場しているが、KEFが創業以来掲げてきた「エンジニアリングファースト」の姿勢は変えずに貫いていきたいと話していた。

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