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「NDD認定制度」が正式運用開始、民間主導でインターネットを安全な場所に

ダークパターンで消費者・事業者が損をしない世界へ “誠実なWebサイト”認定制度が始動

2025年10月16日 11時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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民間主導でインターネットを安全な場所に、AIで審査範囲の拡張も

 ダークパターン対策協会の500名への調査に基づく推定では、ダークパターンによる1人あたりの年間被害額は3万3000円、推定被害総額は年間1兆円以上にも上るという。代表理事の小川氏は、「もはやインターネットは安心・安全に使える状況ではない」と語る。

ダークパターン対策協会 代表理事 小川晋平氏

 消費者側では、ITリテラシーが低い子供や高齢者がダークパターンに誘導され、被害に発展。一方、事業者側では、特に中小企業が知らず知らずのうちにダークパターンを実装してしまうケースが多く発生しているという。

 小川氏は「日本の法律では、ダークパターンを取り締まる法律が分断されている」と課題を指摘する。具体的には、消費者庁の特定商取引法や景品表示法、総務省の電気通信事業法、個人情報保護委員会の個人情報保護法などにまたがり、他国と異なり包括的に規制する法律が存在しない状況だ。「グレーゾーンである広義のダークパターンを規制する法律もなく、横行しているのが日本の特徴」(小川氏)

ダークパターンを使うと儲かる世の中は正しいか?

 こうした問題を民間主導で解決するために生まれたのがNDD認定制度である。認定マークさえあれば、一目で誠実なWebサイトだと分かり、信頼する上での判断材料がひとつ確保される。事業者にとっては、社内外のステークホルダーへのアピールとなるのも大きいという。

 なお、ITリテラシーの向上においては、学生向けの「ダークパターン啓発動画」を、消費者省・文部科学省のレビューのもとで作成している。小学生・中学生・高校生をそれぞれターゲットとした全8本の動画が用意され、消費者庁の消費者教育ポータルサイトと協会のYouTubeチャンネルにて公開中だ。本動画を活用した授業も展開し、まずは埼玉県の高校での実施が予定されている。

学生向けのダークパターン啓発動画

 今後2026年には、「ダークパターン対策ガイドライン」のver2.0策定に向けた分科会が開始される予定だ。

 加えて、審査判断がぶれる恐れから対象にしていなかった「商品・サービス説明画面」について、ダークパターンの度合いをスコアリングするAIツールも開発中だという。同ツールで審査基準を確立し、審査範囲を広げていく。

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