冷凍庫に氷をストックする……そんな当たり前の行為にも、時代ごとの技術革新がある。かつてはアルミ製のレバー付き製氷皿の“ガチャン”という音が夏の風物詩だったが、今の家庭用冷蔵庫のほとんどは自動製氷機能を備えている。
氷を作ること自体が“家電任せ”となった現代において、手動製氷皿の存在意義はどこにあるのだろうか。そんな疑問を吹き飛ばすように登場したのが北欧デザインの「ICEBREAKER NORDIC」。あえて「作る楽しさ」と「機能美」を両立させたユニークな製氷システムだ。
縦置きできるスマート設計 18個の10面体キューブが作れる
アイスブレーカーとは本来、「砕氷船」や「場の空気を和ませる会話」を意味する言葉だが、本製品ではまさにその両義的な意味を持つ。氷を作り、割り、取り出すまでの動作そのものがちょっとした会話のきっかけになる。
従来の製氷皿との最大の違いは「縦置き重ね置きなどなど、あらゆる角度での置き方が可能」な点である。冷凍庫の隙間にスッと差し込めるため、省スペース性は抜群だ。密閉構造になっており、水を入れた状態で立ててもこぼれにくい。同時に匂い移りもミニマムだ。
給水口からMAXラインまで水を注げばOK、というシンプルな構造だが、慣れるまでは少しだけコツが要る。水量が多すぎると不要な膨張を招いたり隙間から漏れるため、MAX表示をしっかり確認したい。
製氷部分はユニークな10面体キューブ。小ぶりながら、エッジの効いた氷が均一にできる。1回で18個の氷が生成され、グラスドリンクに使うには十分な量だ。凍結後は外側のシリコンを両手で押して、内部の氷を割るように「パキッ」と音を立ててほぐす。
氷の取り出しプロセス
1. 冷凍庫から取り出し、室温で1〜2分放置(※ネット上のユーザーによる実体験Tips)。
2. 注水口の蓋を開け両手でキッチン台に置いた本体を上から押し曲げる。
3. サイドのロックを外し、白いハンドルを引き開ける。
4. 内部の氷が自動的に中央のストレージに落ちる。
この一連の動作がちょっとした儀式のようで、慣れると楽しい。しかし、力が弱い子どもや女性、高齢者には少し硬く感じるだろう。
昭和なアルミ製のレバー式製氷皿が「物理的なテコの原理」で氷を割っていたのに対し、アイスブレーカーは「シリコンの柔軟性」で氷を押し出す。アナログからデジタルへの変遷のように、素材と発想が進化している。

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