価格表示の“納得感”というUX
それでもEVERINGの実用性には抗いがたかった
今回、最もモヤモヤしたのは比較基準の「3万8500円」がページや案内ごとに顔を出す一方で、その出自が十分に説明されていないことだった。クレジットカードに近い、“信頼ビジネス”である以上、価格の履歴や特典の適用条件、シリーズ/カラーの対象範囲は、もっと1枚の表で“見える化”されているべきだと感じた。
ユーザーは「得しているのか、していないのか」を判断するための透明性を求めている。今回筆者は、機能同等で最もシンプルに安価なNEON BUZZを選んだが、その結論に至るまでに余計な時間を費やした。
グローバルなVISA本体の信用力を背景にして、リングというデバイスで更新料を課す姿は、やや「コバンザメ商法」的に見える面もある。ただし、その便利さと存在感は抗いがたく、日常生活における実用性が選択を後押ししたのも確かである。
EVERINGの最大の利点は「財布を出すまでの時間の節約」ではなく、「常時指にある=持ち忘れや落下紛失がほぼ無い」ことに尽きる。万が一、洗面台などに置き忘れても、アプリ右上のスイッチで即一時停止できる。筆者は物理紛失保険よりも、この運用上のセーフティーネットに価値を感じている。ゆえに、スマートロックの抱き合わせが含む延長より、NEON BUZZ(3年/1万1000円)のほうが筆者の使い方にピッタリだった。
今後は、対応加盟店のさらなる増加に加え、交通系でのタッチ決済の広がりがカギになるだろう。そこが進めば、スマホやスマートウォッチに次ぐ「第三のキャッシュレス常在デバイス」として、一段上の普及局面が見えてくるだろう。価格・保証・対象の整理を一層透明化しながら、指先決済の新常識を押し広げてほしいと期待している。

今回の衝動買い
・EVERING NEON BUZZ ゴールドライン
・更新料 1万1000円(送料別)
・入手元 EVERING
T教授
日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

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