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生成AIがもたらすプロジェクトマネジメントの未来 PMIソヒュン・カン氏が語るAI時代のマネジメント論

2025年10月06日 11時00分更新

文● MOVIEW 清水 編集●清水/ASCII

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グローバルコミュニティがPMIの強み

――PMIとしてはどのような支援を行っているのですか

カン:PMIでは、個人や企業が生成AIを活用してプロジェクトをより効率的かつ効果的に管理できるよう、いくつかの取り組みを行っています。

 第一に、世界規模で大規模調査を行い、生成AIの利用状況や業界への影響を分析しています。変化が速いため、四半期ごとにリーダーシップレポートを発行して専門職や意思決定者へ向け情報を共有しています。

 第二に、プロジェクト管理に特化した5つの生成AIのeラーニングコースを提供しています。概要から始まり、データ環境、プロンプトエンジニアリング、建設業界での具体事例まで受講可能です。PMI会員は無料で限定追加コンテンツを利用でき、非会員でも少額で活用いただけます。

 第三に、独自の大規模言語モデルツール「PMI Infinity」を開発しました。PMI InfinityはChatGPTを搭載したツールですが、PMI独自の占有データのみを学習に利用しており、セキュリティの為に他のデータは利用していません。プロジェクト憲章の自動生成やリスク管理に対応できる専門ツールで、プロンプトライブラリも備えています。

 この他にAIプロジェクト管理に関する認定資格も提供しています。これは基礎的なPM知識に加え、データ理解や倫理観、ガバナンス知識も含みます。2026年前半に日本語版もリリース予定です。

 また、PMIにはグローバルコミュニティがあります。AIに特化した委員会を設け、世界中の人と人が学び合い、経験を共有できる場を作っています。技術が急速に進化する中で、知識を共有し合うことこそが重要で、このグローバルコミュニティはPMIの強みだと考えています。

PMIが描く未来へのビジョン

――最後に、PMIが今後目指している方向性や、未来に向けたビジョンについてお聞かせください

カン:PMIのビジョンは非常にシンプルです。「プロジェクトの成功を最大化し、世界をより良くする」――これが私たちの目指す姿です。私たちの使命は、プロジェクトマネジメントを発展させることを通じて、個人・企業・社会全体がより良い成果を生み出せるようにすることです。

――プロジェクトというものは、ビジネスを進める手段にとどまらないということですね

カン:その通りです。プロジェクトとは社会を変革する力を持っています。例えば新しい橋を建設することも、公共政策の導入や医療システムの改善も、すべてプロジェクトの一つです。

 このように規模の大小を問わず、あらゆる変革はプロジェクトによって実現されます。だからこそ私たちは「プロジェクト・プロフェッショナル」を支援することに力を注いでいます。

――単に納期や予算を守るだけではなく、社会的な影響までを含めて「成功」と捉えるわけですね

カン:はい。プロジェクトの成功を「社会的価値」と結びつけて考えることが重要です。環境やコミュニティ、人々の生活にどのようなインパクトを与えるのか。それこそがこれからの時代に求められる視点です。PMIは、世界中のプロジェクトマネージャーとともに学び、成長し、社会にポジティブな変化をもたらす場を提供し続けます。

――ありがとうございました

 今回カン氏にお話しを伺い、プロジェクトマネジメントは単にプロジェクトを円滑に進め、結果を出すということではなく、社会の課題に対してプロジェクトが与える影響を含めて「成功」とする視点はとても共感できた。PMIの活動が、これから社会実装されるプロジェクトを成功に導き、次の可能性を広げていくことにさらに期待したい。

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