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AIを用いバーチャルとリアルの融合した場を作る、ソニー独自の3DCG生成技術

2025年09月26日 13時00分更新

文● 小林 久/編集●ASCII

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バーチャルプロダクションを身近にするさまざまな取り組みも

 ソニーPCLはその一方で既存の大型スタジオを使うような大規模なプロジェクトではなく、より小規模・高効率で始められる「スマートVPステージ」のプロジェクトも推進している。例えば、グラフィック撮影やCMのワンシーンだけにバーチャルプロダクションを使いたいといったニーズに対応する。出演者が少なくアップを中心としたカットの撮影や、車の運転シーンなどでボディーやガラスに光が映り込む表現を撮影段階から高いクオリティにしておきたいといった用途を想定しているそうだ。

 第一弾としてTREE Digital Studioと期間限定のプロジェクトを実施している。

 ソニー製のCrystal LED VERONA(1.5mmピッチ)を使用したL字型のLEDウォール(正面は6.5×3mで4160×1920画素、垂直面は4×3mで2560×1920画素)をメインに、反射用の可搬型LED(BOE製のBTJ-XM019A、1.9mmピッチ、4×2.5mで2048×1280画素)などを組み合わせたコンパクトな構成。Cinema Lineカメラの「FX9」やstYpeのトラッキングシステム「RedSpy」、SMODE・Unreal Engine nDisplayを使った送出システムが設置されている。

スタジオのスペック

 また、ソニー独自の3DCG生成技術を活用した背景アセット制作のトライアルキャンペーンも実施する。これは、2026年3月31日までの期間にバーチャルプロダクション撮影を希望する場合、背景アセットの撮影から制作、送出までを約30万円からの特別価格で提供するというものだ。

 制作した背景アセットをバーチャルプロダクション向けの素材ライブラリーである、ソニーPCLの「BACKDROP LIBRARY」に提供することが利用の条件となる。

素材の入手しやすさが、バーチャルプロダクションの浸透に繋がる

 このようにソニーPCLは、バーチャルプロダクションの課題となる背景アセット(その制作の時間にかかるコストの低減)やバーチャルプロダクションをより気軽に使える環境を整えることに注力し、バーチャルプロダクション活用の裾野を広げる試みを続けている。

 背景素材そのものに加えて、効率的な撮影手法、それを活用できる環境が整うことで、バーチャルプロダクションは、より当たり前の技術へと進化していくだろう。

走行中の車を運転する人物を窓ガラス越しに捉えるシーンの撮影などにも適している。

 なお、ソニーPCLのバーチャルプロダクション技術は9月12日公開の映画『ベートーヴェン捏造』、ドラマ『ホットスポット』、7月には大阪万博の『未来につなぐ能楽の世界』などでも活用されている。ソニー独自の3DCG生成技術も上で述べた『ショーラー』のほか、NHKの朝ドラ『あんぱん』で戦後の焼け野原を再現するシーンで採用されている。またTBSドラマ制作チームとの技術検証も実施されたそうだ。加えて、360度カメラでの撮影が可能な「360°カメラカー」なども活躍中だ。

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