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ドイツ・ベルリンで開幕、世界注目のイベント「IFA 2025」 第5回

Baseus創業者/CEOに聞く、国内向けの製品戦略

日本のオーディオ市場は「ブランド」を重視、長いチャレンジになるが厳しい要求に応える価値はある

2025年09月06日 14時00分更新

文● ASCII

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INSPIREシリーズの製品

 Baseusが9月4日(現地時間)に発表した「INSPIRE」シリーズ。海外市場を中心にこれまで多くの製品を手掛けてきた同社とBoseとの協業で生まれた新しいヘッドホン/イヤホンのシリーズだ。

 同日開催された発表会には、創業者でCEOのShiyou He氏が登壇。「良い音は一部の人の特権であってはならないと信じている」と述べ、Sound by Boseの製品の導入が同社のオーディオ製品がひとつ上の段階に到達し、高水準なオーディオを広い人々に届けられるきっかけになると強調した。

 このコメントにはどのような背景があるのか。また、日本市場でのBaseusブランドの展開についてどのような計画があるのかについて、Shiyou He氏の話を直接聞くこともできたので紹介していこう。

10年で大きく発展を遂げたブランド

 中国の深センで誕生したBaseusの創業は2011年で、アクセサリーメーカーとしては比較的新しいブランドとなる。具体的な売り上げ規模などの数字は公表されていないが、創業後約10年という短い期間で中国市場のリーディングカンパニーの地位に上り詰め、世界100カ国に向けて製品を投入するなど、急成長を続けているブランドである。

 その特徴は「顧客志向の製品開発」を徹底している点だ。プロダクトから市場に入るのではなく、まずユーザーのニーズを掘り下げ、実用的かつ信頼を得られるものづくりを信条としている。自社工場や研究開発部門も持っており、企画/開発から製造まで自社で一貫して手掛けられるのも特徴となっている。

 オーディオ分野でも多くの製品を手掛けてきたBaseusだが、これまではアクセサリーメーカーとして手に入れやすい価格と機能を持ったアフォーダブルな製品が中心だった。INSPIREシリーズではオーディオのあるライフスタイルにより深く踏み込んだシリーズで、Sound by Boseによる完成度の高い音質を実現しつつ、独自の研究開発、構造設計、電子設計、ハードウェアエンジニアリングの成果を盛り込み、完成した製品となっている。

顧客志向の製品開発

 Shiyou He氏によると、Baseusが製品開発をする際、その出発点とするのは「カスタマージャーニーを明確に描くこと」なのだそうだ。市場にあるニーズを徹底的に調査し、従来製品に対してユーザーが描いている不満や物足りなさを深掘りする。その上で、そこを軸にした製品開発、アドバタイジングをしていくのがBaseusのやり方だという。同時に、全世界で3億人に達するBaseusのユーザーから得た知見は、製品の改善につなげられる。どのようなユーザーがいつどのように製品を使うのかというシナリオを重視しており、それが研究開発を進めるコアになるというわけだ。

発表会はベルリン市内の高級ホテルを利用し、世界各国のメディアが招待された。

 Boseとのコラボレーションもそのキーステップのひとつである。製品の開発にあたっては、映画や音楽への没入、スポーツやアクティビティ、そして静寂感と集中力など、ユーザーがオーディオを体験する典型的な3つのシーンを想定した。それぞれに向けて開発したのがワイヤレスノイズキャンセルヘッドホン、イヤーカフ型のオープンイヤーイヤホン、スティック型のノイズキャンセルイヤホンだ。

 これらはBaseusが従来とは一線を画すハイブランドへと成長するために重要な役割を果たすとともに、ヘッドホンやイヤホンを使うユーザーの主要なシナリオ(利用シーン)に合った価格と性能のグッドバランスを追求し、毎日使える高性能を提供する製品になっている。

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