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山谷剛史の「アジアIT小話」 第218回

キャッシュレス決済に逆行!? Wi-Fiでも水でもネカフェでも、何でも硬貨投入で買えるフィリピンのコイン文化

2025年08月25日 12時00分更新

文● 山谷剛史 編集● ASCII

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フィリピン

フィリピンの屋台には、硬貨を入れると水が出てくる「ATM」やWi-Fiが使えるマシンが併設されていることがある。ここには独自のコイン文化が広がっていた

低額の硬貨を機械に投入することで
水やサービスを購入する文化がフィリピンにはあった

 フィリピンに行く機会があった。筆者が行ったのは日本から直行便があり、リゾート地から庶民的な街まで多様なセブ。首都マニラと比べて混雑しておらず、構えすぎずに庶民的なエリアを歩いて、楽しむことができた。

 そのセブの庶民的なエリアには、日本人が集まりそうなモールや高級ホテルではないものが多数見られた。1ペソ(2.5円)や5ペソ(12.5円)といった硬貨の投入で稼働するさまざまな機械だ。単純な自動販売機だけでなく、体験を売るものもある。

 一番よく見かけたのは「ATM」と呼ばれる機械だ。ただしお金が出てくるものではない。現地でATMとは「Automatic Tubig Machine」の略で、Tubigとは水、つまり水販売機だ。日本でもよくある12リットルボトルを乗せたウォーターサーバーにコイン投入機能があり、硬貨を入れると相応の水がでてくる。

フィリピン

水もWi-Fiもコインで購入できる。スタイルもさまざまだ

 ウォーターサーバーがそのまま置かれていることもあれば、犯罪防止目的でガワを被ったものもあり、40年以上前の黎明期のアーケードゲーム筐体のような形状になっている。

フィリピン

昔のアーケードゲーム筐体のようにも見える、飲料水を売るATM

 こうしたATMが、庶民的なエリアの食堂や商店でよく見かけた。ジュースなどのペットボトル飲料もセブン-イレブンやスーパーなどで容易に入手可能であり、購入の選択肢が増えているといえる。ちょっと喉を潤すにはちょうどいい。

 ほかにもコイン投入式の洗濯機、コーヒーマシン、スマホ充電機、カラオケマシンなど、さまざまな製品が置かれていた。コインを生活で多用する環境だからか、フィリピン滞在では細かな硬貨がどんどん増えるのだ。たとえば、6ペソの支払いで11ペソを払っても、全部1ペソコインで戻ってくる。

フィリピン
フィリピン
フィリピン

コイン式洗濯機にスマホ充電器、カラオケマシンと種類も多様だ

パソコンや公衆無線LANも
コインを入れると使えるようになる機会がある

 また、コインを入れると使えるパソコンや公衆無線LANもあった。コイン式公衆無線LANで代表的なサービス「Piso Wifi」で、その提供方法は実に簡単。該当のWi-Fiに接続すると、自動でコイン投入を促すページが表示される。コインを投入すると、1ペソで10分間繋がる。

 古いショッピングモールのフードコートにあった「EZ Piso-net」というサービスを利用したところ、Wi-Fiに繋ぐと他の端末からはその機械は見えなくなり、その間、フィリピンのモバイル回線相応の体感速度でネットを利用できた。1台しか利用できないのかと思って仕様を見たところ、実際には複数台接続が可能で、あくまでルーターの設定に依存するとしている。持ち主が同時接続数を1台にしたのかもしれない。

フィリピン
フィリピン

実際に接続してみた。PUBGの画像は……多分勝手に使っているのだろう

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