英語版から提供開始、ナレッジハブ上で独自エージェントも構築可能
AIプラットフォーム「Acrobat Studio」登場 アドビが提案するナレッジ活用ツール
2025年08月19日 22時00分更新
アドビ(Adobe)は、2025年8月19日(米国時間)より、PDFなどのナレッジを業務活用するためのAI搭載プラットフォーム「Acrobat Studio」の英語版を全世界で提供開始した。今後日本語対応も予定する。
Acrobat Studioは、これまで同社が提供していた生成AI機能「Acrobat AIアシスタント」をより業務の中で活用できるよう、ワークスペースや周辺ツールを統合したプラットフォームになる。アップロードしたPDFなどを情報源にAIアシスタントが回答・要約する「PDF Spaces」、「Adobe Express Premium」のコンテンツ制作ツール、「Acrobat Pro」のPDF機能がシームレスに統合されている。
アドビのDocument Cloud プロダクトマーケティングディレクターである山本晶子氏は、「多くの知財が眠っているPDFを始めとした文書を集めて、文書の理解やコンテンツ制作を支援する機能をシームレスに連携させることが、アドビのデジタル文書変革のビジョン」だと説明する。
PDF Spaces・AIエージェント・Adobe Expressで膨大なナレッジを新たな価値に
Acrobat Studioは、専門的な業務を遂行する“ビジネスプロフェッショナル”を主なターゲットとして開発されている。「彼らは、情報過多と限られたリソースの中で、新たな価値を迅速に創出するという強いプレッシャーにさらされている」と山本氏。
アドビはこうした声に応えるべく、PDFとの対話により膨大な量のドキュメントを素早く理解できる「Acrobat AIアシスタント」を提供。2025年2月からは、日本語版も展開している。ただ、このAIアシスタントで得られた要約を基に、コンテンツを制作したり、コラボレーションしたりするにはツールの切り替えなどが必要だった。
そこで今回登場したプラットフォームが「Acrobat Studio」である。Adobe Acrobatのホームページから利用でき、AIワークスペースである「PDF Spaces」やコンテンツ制作のための「Adobe Express Premium」、PDFを扱う高度な機能を揃えた「Acrobat Pro」といった各ツールにアクセスできる。ウェブ版やデスクトップ版、モバイル版のすべてで利用可能だ。
PDF Spacesは、PDFをはじめとする“非構造化データ”を、AI活用するためのナレッジハブである。ファイル(PDF/DOCX/PPTX/TXT/RTF/XLSX/VTT)をアップロードすると、それらを独自の“情報源”として集約。ウェブサイトのリンクやコピーされたテキスト、オンラインストレージのクラウドファイルにも対応する。英語版では、英語のファイルのみをサポートし、情報源として追加できるのは100ファイルまでとなる。
その情報源を基にAIアシスタントが、質問の回答や要約、提案などをしてくれる。生成された回答などは、どのファイルを参照しているかを確認することができ、「ノート」という場所に蓄積して、編集することも可能だ。
さらに、PDF Spaces上で働く、独自のエージェント型アシスタントも追加できる。エージェントに期待することを文章で指定するだけで、簡単に構築可能だ。「エージェントの役割を分けて、同じ文書を違う角度で要約・分析するといった使い方が効果的」(山本氏)
独自アシスタントを含むPDF Spacesの機能は、個人だけではなく、チームで共有して、共同作業の場にすることも可能だ。場所を作成できるのはAcrobat Studioユーザーのみだが、招待されたユーザーはアカウントを必要としない。
さらに、Adobe Expressが同梱されているため、PDF Spacesで得られた要約や提案を基に、プレゼンやインフォグラフィックなどのコンテンツを制作できる。豊富なテンプレートや生成AI機能によって、ビジネスプロフェッショナルでもナレッジから成果物を生み出せる。
AIによる生産性の向上でより人間らしい仕事を
Acrobat Studioは、2025年8月19日より、全世界で英語版を提供開始している。 早期アクセス価格が、個人向けが月額24.99ドル、チーム向けが月額29.99ドルからとなっている。
同プラットフォームは、アドビがターゲットとして挙げるビジネスプロフェッショナルの中でも、特に「大量の情報を精査・分析する業務」(山本氏)において高い効果を発揮する。また、AIを活用して学習や就職活動をしたい学生、情報を蓄積してライフイベントの計画を立てたい個人ユーザーにも役立つという。
山本氏は、「情報を読み込み、自分なりのストーリーを考え、成果物を作る。この時間を短縮することで、より良いアイディアを追加する時間などが生まれる。AIが仕事を奪うのではなく、AIを上手く活用することで、人間にしかできないことができるようになる」と強調した。

















