キオクシアは7月22日、生成AI向けに開発中の大容量NVMeエンタープライズSSD「KIOXIA LC9シリーズ」に、業界初となる245.76TBモデルを追加したと発表した。PCIe 5.0インターフェースに準拠し、2.5インチおよび新しいE3.Lフォームファクターに対応する、生成AIで要求される性能を満たす大容量SSDだ。
QLC 32枚積層の8TBメモリーチップでHDDからの置き換えを狙う
生成AIでは、大規模言語モデル(LLM)の学習データや回答精度を向上させるRAG(Retrieval Augmented Generation)を支えるベクターデータベースを保存するため、大容量かつ高速なストレージが不可欠となっている。今回発表された245.76TBモデルは、同社の高精度なウエハー加工技術や材料設計などを駆使し、2Tb(テラビット)の第8世代3次元フラッシュメモリー「BiCS FLASH」のQLCチップを1つの154 BGA小型パッケージ内に32枚積層した、業界最大容量となる8TBのフラッシュメモリー製品を搭載することで実現した。
LC9シリーズは、大量のデータを取り込むデータレイクにも適している。性能がボトルネックとなりがちなHDDとは異なり、コンパクトな設置面積で消費電力あたりの容量が大きい高密度ストレージを実現する。最大245.76TBの大容量により、大量の電力を消費するHDDをより少ない台数で置き換え可能で、結果として優れた性能、消費電力や冷却コストの低減、ホストシステムのドライブスロット数の削減に貢献し、総保有コスト(TCO)を改善するとしている。
製品ラインアップは、2.5インチおよびE3.Lフォームファクターで最大245.76TB、E3.Sフォームファクターで最大122.88TBの容量を用意。インターフェースはPCIe 5.0(最大128GT/s Gen5 シングルx4、デュアルx2に対応予定)で、NVMe 2.0に準拠する。また、FDP(Flexible Data Placement)機能や、SIE、SED、FIPS SEDといったセキュリティオプションもサポート。ファームウェアの改ざん防止には、耐量子コンピューター暗号の一つであるCNSA 2.0で認められたアルゴリズムを採用している。
開発中のLC9シリーズは、すでに限定顧客向けにサンプルを提供中。2025年8月5日から7日に米国サンタクララで開催される「FMS: the Future of Memory and Storage 2025」の基調講演および展示ブースにて紹介される予定だ。














