「たった一度の取引のために、30万円ものコストがかかるのはおかしい」CEOがサービスの狙いを語る
購買業務の無駄なコスト“テールスペンド”を解決 Candexが日本市場へ本格参入
2025年07月14日 09時00分更新
たった一度の少額取引のために、コンプライアンスチェックや書面の取り交わしなど、30万円相当ものコストをかけて取引先登録をしなければならないのは、何かおかしい――。
フィンテックスタートアップのCandex(キャンデックス)グループが、2025年7月8日、日本市場でのビジネス本格始動に伴う事業戦略説明会を開催した。同社が解決するのは、購買/支払い業務で発生する“テールスペンド”という問題だ。
大手多国籍企業を悩ませる“テールスペンド問題”とは
2011年に米国で創業したCandexは、現在52カ国でビジネスを展開している。ソニー、日立エナジー、デル・テクノロジーズ、シスコ、フィリップモリス、3Mなど、現時点で135社の多国籍/エンタープライズ企業を顧客に持つ。
Candexが解決に取り組むテールスペンド問題とは、そうしたバイヤー企業の調達/支払い業務において「少額の支払い先(サプライヤー)が大量に存在する」ことで生じる“無駄なコストや手間”を指している。ラッピン氏は次のように説明する。
「大手の多国籍企業では、取引先サプライヤーの80%に支払う支出額が、全体のわずか5%程度にすぎないことがある(つまり少額の取引先が大多数を占める)。しかし、そうしたサプライヤーの支払い先登録には(大手取引先と同じように)数カ月かかる。しかも、その後に取引が継続しないサプライヤーが40%以上を占める」
支払い先として登録できるまでには、取引額の大小にかかわらず、担当部署をまたいだコンプライアンスチェックや承認、支払いシステムへの登録といった作業が必要だ。たとえ一度かぎり、数万円の少額支払いであっても、支払い先登録に「(1件あたり)30万円(相当)の追加コストがかかっている。それはあまりにおかしい」とラッピン氏は指摘する。他方で、取引先のサプライヤーには、フリーランス(個人)や小規模企業まで含まれるが、支払いまでに数カ月を要するために不満がたまる。
もうひとつ、多国籍企業ならではの問題として「各国の税制度や法制度の違い」もある。取引先の所在地(国)ごとに異なる対応が必要となる。こうした各国の制度の違いに対応するために、さらに手間がかかる。











