高級すぎる方向に走った一部のG-SHOCKとは異なる
カシオの真の価値が詰まった工業製品
筆者が選んだモデルは、コスパに優れた本革焦げ茶色のストラップ仕様で、安価ながらも革には厚みがあり、AE-1200WHLの角張ったフェイスによく似合う特別の仕上がりである。
重量は実測39g。並行して愛用しているNothingの「CMF Watch Pro 2」(実測43g)と比べても、さらに軽量だ。スマートウォッチとして見た場合、その方向性はまったく異なるが、「10年バッテリー vs. 2週間バッテリー」という点で、各ジャンルでの好敵手と言えるかもしれない。
個人的な意見ではあるが、カシオの真の価値は、既存のG-SHOCKに他社の伝統工芸技術を取り込んで突如登場した、数十万円を超える自宅博物館収蔵モデルではないだろう。日常楽しく便利に使える工業製品である“普段着時計”の中にこそあるのだ。
AE-1200WHLは、その魅力を凝縮したようなモデルだ。逆輸入品という立ち位置ではあるが、ホームタウンのアナログ時計となる円形マルチセグメント液晶と世界地図時計をウオッチフェイスの左右に配し、フルチューンされた省エネ腕時計を10年バッテリーでドライブする極めてユニークなアナデジ工業製品腕時計だ。
令和の今、このデザイン性と機能性を併せ持つ腕時計がわずか5000円台で手に入るのは驚嘆に値する。スマートウォッチ全盛の時代ではあるがAE-1200WHLのような“過剰良品質”でノンスマートなプロダクトが今後ますます評価されていく時代になってほしいものだ。

今回の衝動買い
・CASIO AE-1200WHL
・価格 5520円
・購入 たいようのとけいてん
T教授
日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

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