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グーグル、ついに核融合電力を購入へ 核融合ベンチャーCFSから200MW

2025年07月02日 11時16分更新

文● サクラダ 編集●飯島恵里子/ASCII

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 グーグルは6月30日(現地時間)、核融合エネルギーの商業化を目指すCommonwealth Fusion Systems(以降、CFS)との間で、過去最大規模となる核融合エネルギーの直接電力購入(オフテイク)契約を締結したと発表した。今回の合意は、核融合という未来のエネルギー源の実用化に向けた大きな一歩となる。

商用核融合炉から200MWの電力を直接購入

 グーグルは新たなパートナーシップを通じて、CFSがバージニア州チェスターフィールドに建設予定の同社初となる商用核融合プラント「ARC」から、200MW(メガワット)のカーボンフリー電力を購入する。さらに、CFSの技術開発と商業化を加速させるため、2021年に続く2度目の設備投資も実施したことを明らかにした。核融合エネルギーは、クリーンかつ豊富で安全性が高く、場所を選ばず建設できる可能性を秘めている。

 核融合とは、太陽や恒星がエネルギーを生み出すのと同じプロセスだ。軽い原子核を摂氏1億度以上の超高温に加熱してプラズマ状態にし、高密度で核融合反応を発生させることで、膨大なエネルギーを取り出すことができる。このエネルギーを利用して、二酸化炭素を排出しない発電が可能になる。実用化には、投入したエネルギーを上回るエネルギーを生み出す「エネルギー正味プラス(Q>1)」を達成する必要があるが、CFSはそのブレークスルーに最も近い企業のひとつと目されている。

 CFSのアプローチは、強力な高温超伝導磁石をドーナツ状に配置した「Tokamak(トカマク)」と呼ばれる装置でプラズマを閉じ込め、制御する点に特徴がある。この磁石技術の革新により、従来よりもコンパクトで商業的に成立しうるトカマクの設計が可能になったという。現在マサチューセッツ州で組み立て中の実証機「SPARC」が、その中核を担うイノベーションだ。

 グーグルは今回の投資と電力購入契約によって、商用プラントであるARCの実現を後押しし、商用核融合市場の起爆剤となることを目指す。契約には、将来CFSが建設する別のプラントから電力を購入するオプションも含まれている。グーグルは2010年以来、22GW(ギガワット)以上のクリーンエネルギーを調達しており、先進的な原子力や次世代地熱エネルギーへの投資に続き、そのポートフォリオに核融合を加えることで、より安全でクリーンなエネルギーの未来に貢献するとしている。

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