Raspberry Pi財団の公式サイトで6月18日、ニキシー管やヌミトロン管を使った時計と電卓の作例が公開された。いずれもデイブ・ベル(Dave Bell)氏の作品で、「Raspberry Pi Pico」シリーズ向けのプロセッサー(RP2040/RP2350)を使用している。
「ラズパイZero」サイズのヌミトロン管時計
同氏はまず、低電圧(定格4.5V)のヌミトロン管を4本用いた小型の卓上時計を製作。こちらは「RP2350」に、BCDから7セグメントへの変換ドライバ「CD4511BE」を追加することで、必要なGPIO数を削減しつつ、ヌミトロン管の動作に必要な出力電流を確保している。
最初のモデルの完成後もプロセッサーの交換(RP2350→RP2040)や、温度制御型水晶発振器(TCXO)による最大誤差時間の短縮(年間15分→同2.5分)、PWMによる輝度制御など、複数の改変を実施。最新の第4世代モデルでは時計自体の寿命が延び、昼夜を問わず快適に使えるようになったという。
ヌミトロン管電卓は完成度高めと思いきや……
次に同氏が手がけたのが、ヌミトロン管を7個搭載した電卓だ。
設計段階で多くのGPIOを必要とすることがわかったため、プロセッサーには48個のGPIOが公開されているRP2350を採用。内部の銅箔のパターンが見える基盤を利用することで、よりメカニカルな外観に仕上げている。
キー部分はメカニカルスイッチで、同氏によると非常に触り心地が良いとのこと。キーキャップのカラーは茶色で、これは全体的なデザインの調和を考慮した選択だ。
機能面では、電卓として一般的な機能を一通り装備。小数の計算も可能だが、設計ミスで負の数の表示には対応できないとしている。
ニキシー管時計は専用ケース付きの豪華仕様
ヌミトロン管の時計と電卓で知見を得た同氏は、最後の仕上げとして、ニキシー管を使った時計の製作に着手。ニキシー管はヌミトロン管と違い170Vの高電圧を必要とすることから、安全性も考慮して、電源周りは既成のモジュールを活用している。
時計回路の基本的な仕組みはヌミトロン管時計と同じだが、いざ製作を始めると、ドライバーチップの買い間違いでニキシー管が動作しない、データシートの誤読で正しい数字が表示されないなど、予想外の事態にも遭遇。その度に1つずつ解決し、正常動作にこぎ着けたという。
こうして出来上がったニキシー管時計は、同氏が製作したセメント製のケースに収められ、今日もレトロな姿で未来へ向けて時を刻んでいる。
















