今年のiOSは26! iPadがMacのように! 「WWDC25」特集 第14回
watchOS 26の進化から予想する「次のApple Watch」の機能とカタチ
2025年06月17日 08時00分更新
アップルが開催した2025年の世界開発者会議(WWDC)で、Apple Watchの新しいプラットフォームである「watchOS 26」が発表されました。秋に正式リリースを迎えます。
Apple Intelligenceと連携する新しいワークアウト機能、メッセージにメモなど、iOS 26やmacOS 26 Tahoeとシームレスに連動する定番アプリが快適に使える、次の新しいApple Watchはどのようなスマートウォッチになるのでしょうか。
watchOS 26が快適になる
ソフトウェアキーボードがオススメ
まずはwatchOS 26が利用できるデバイス環境からおさらいしましょう。watchOS 26は7月予定のパブリックベータ版の公開を経て、今年の秋に正式リリースを迎えます。例年、アップルは秋に開催する新製品発表会で新しいApple Watchを発表しています。2024年はナンバリングモデルのApple Watch Series 10と、タフネスモデルのApple Watch Ultra 2を9月20日に発売しています。
watchOS 26はiOS 26を投入したiPhone 11以降、または第2世代のiPhone SE以降のiPhoneにApple Watchをペアリングする必要があります。Apple Watchの対応機種は以下、イメージでご覧いただける通りですが、2020年9月発売のApple Watch Series 6が含まれています。
ただし、Apple Watchにソフトウェアキーボードが初めて搭載されたのは2021年発売のSeries 7からです。今回のwatchOS 26では、アップルの定番アプリ「メモ」が初めてApple Watchにやってきます。新規のメモをApple Watchから作成することもできるのですが、その際にソフトウェアキーボードが使えないSeries 6は音声入力に頼らざるを得なくなるなど、新しいApple Watchと比べた時に使える機能、パフォーマンスに制約が伴います。対応機種リストに含まれる第2世代のApple Watch SEも然りです。
昨年の9月に発売されるかもとウワサになった「Apple Watch SEの後継機種」が、もし今年の秋にソフトウェアキーボードに対応して登場すれば、メモアプリや新機能である「ライブ翻訳」に対応するメッセージアプリがより実用的に使いやすくなるでしょう。
名前が変わらなければ“第3世代”になるApple Watch SEの後継機種は「ケースがプラスチック製になる」というウワサもありました。Apple Watch SEのケースのメイン素材はずっとアルミニウムでした。Apple Watchの筐体にプラスチックケースが使われた前例はありません。製品本体やパッケージで脱プラスチックを推進してきたアップルが翻意することは考えにくいのですが、今年のWWDC 25で発表した新デザイン「Liquid Glass(リキッドガラス)」に本体のデザインを調和させてくることはあり得ると思いますし、ケースにガラスを使うことはないとしても、透明なガラスのようなケースのApple Watchは筆者も欲しいです。
今年はApple Watchが2015年に発売を迎えてから10年のアニバーサリーです。秋に大きな発表を期待します。
Apple WatchのApple Intelligence対応が加速する
話題をwatchOS 26に戻します。
watchOS 26の新機能は、多くがアップル独自の生成モデルの数々により構成されるパーソナルインテリジェントシステムの「Apple Intelligence」に連動します。
たとえば屋内外ランニングやウォーキング、屋外サイクリングなど一部の人気ワークアウトの実践中に、ユーザーの目標達成やペースに合わせて、音声によるパーソナルコーチングを提供する「Workout Buddy(ワークアウトバディ)」が好例です。
ワークアウトバディの音声コーチは、決められた台本に沿って録音された音声をしかるべきタイミングで再生するだけの機能ではありません。アメリカやカナダなど英語圏で先行するApple Fitness+の人気トレーナーの音声データを収録して、コーチングの内容だけでなく、ユーザーが選択したワークアウトに合った声のトーンや熱量を、Apple Intelligenceのモデルがダイナミックに生成します。ワークアウトバディは日本のユーザーも使える機能ですが、残念ながら当初は音声の言語が英語に限られます。
Apple Intelligenceはオンデバイス処理を優先しますが、ワークアウトバディの場合はApple Watchがリアルタイムに取得するユーザーのワークアウトデータと、過去に実践したフィットネス履歴のデータを取り込んで、セキュアなプライベートクラウドコンピューティングによる処理も併用します。つまりApple WatchとiPhoneのデバイス処理、プライベートクラウドコンピューティングとwatchOS 26が三位一体になってワークアウトバディの機能を実現しています。
音声コーチを聴くために、アップルはワイヤレスイヤホンの使用を推奨しています。この時にイヤホンをペアリングするデバイスはApple WatchとiPhoneのどちらでも構いません。ただ、特に屋外でランニングやウォーキングを楽しむ時には、セルラー対応のApple Watchだけを身に着けて、なるべく身軽な状態で汗を流したいものです。
セルラー対応Apple Watchが単体でプライベートクラウドコンピューティングにつながり、ユーザーのワークアウト履歴を何らかの方法で参照できる道筋が整えば、Apple Watchのラインナップにも「Apple Intelligenceのために設計されたパワフルなApple Watch」が堂々と並ぶことになるのかもしれません。デバイスの頭脳、あるいは心臓にもたとえられるSiP(System in Package)の進化にも注目です。
ライブ翻訳やメモアプリも便利に使いたい
Apple Intelligenceに関わるwatchOS 26の新機能といえば、メッセージアプリのライブ翻訳もあります。受信したテキストを、指定した言語に自動で翻訳・変換します。日本語から、英語や中国語を含む8ヵ国の言語に翻訳ができます。オンデバイス処理のモデルとなるため、Apple Intelligence対応のiPhoneとペアリングしたApple Watch Series 9/Series 10、Ultra 2に対応機種が限られます。
ほかにもApple Watchが通知や電話の着信を受けたときに、内蔵するスピーカーから出力されるサウンドの音量を、ユーザーが今いる環境を判定しながら自動でアップダウン制御する機能もwatchOS 26に新設されます。
このように発売から10年を迎えたApple Watchの細やかな気配りにもApple Intelligenceが関わっています。
次の新しいApple Watchの“あるべき姿”をもう1つ予想するならば、筆者はLiquid Glassデザインの採用、watchOS初の「メモ」アプリの登場にライブ翻訳など「文字を読む・入力する」ことに関わるアプリが充実することから、さらなるディスプレイの大型化もあり得るのではと考えています。
ただ、Apple Watchは手首に常時装着して使うデバイスなので、あまり大きすぎたり重すぎると嫌われてしまいます。2024年モデルのSeies 10では本体の薄型化が進みました。装着時のストレスを解消しながら、画面表示をさらに見やすくする進化は、この先数年の間に起こり得ると考えます。それはこれからApple Intelligenceの時代が本格的に到来すれば、避けては通れない道でもあると思います。

筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

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