実際にソースコードを見る方法
ここでは、普段ソースコードなどを見ない人のためにソースコードを簡単に見るための方法を解説する。とはいっても、最低限なにか1つはプログラミング言語を習得している必要がある。さすがにここで、WSLの構築に使われているC++の解説はできない。しかし、アルゴリズムには普遍性があり、コンピュータ言語は、それを自身の文法や記法で記述しているだけである。どんな言語で記述しようとも「アルゴリズムはいつも1つ」である。
コンピュータ言語の入門書を読むのもいいが、言語の定義から言語を理解するより、実際のコードから理解する方が簡単である。英語を学ぶのに、いきなり文法書から入ることはなく、通常は簡単な会話などから始める。それと同じである。最初は英語を聞くのと同じく、ソースコードを眺めればよい。
ソースコードを閲覧するには、gitを使ってGitHubにあるWSLリポジトリをローカルドライブにコピーする。これをgitでは「クローン」と呼ぶ。gitをインストールして、コマンドラインを使ってもいいが、GUIで操作が可能な「GitHub Desktop」(https://docs.github.com/ja/desktop/installing-and-authenticating-to-github-desktop/installing-github-desktop)を使う方法もある。
ソースコードを表示させるには文法色分け(syntax highlighting、シンタックス・ハイライト)に対応したエディタが便利だ。最近の多くのエディタは文法を理解し、たとえば関数の参照コードから定義を探して表示するといった機能を持つ。
同様のエディタ機能は、Visual StudioのようなIDE(Integrated Development Environment。統合開発環境)を使うこともできる。こちらは呼び出し階層を表示するなど高度な機能を持つが、比較的大規模でインストール時の選択項目も多く、慣れない利用者がビューアー代わりに使うのには向いていない。ただし、WSL開発プロジェクトでは、Visual Studioが使われていて、ソースコードからシステムを構築するためときには必要になる。
すでに手慣れたエディタがあれば、拡張機能などでC++のシンタックス・ハイライトやコード補完などの拡張機能を導入すればいいだろう。特にエディタを使っていない場合のとりあえずのオススメはVS Code(https://code.visualstudio.com/)である。
Windowsの中でLinuxカーネルを動かしLinux環境を構築するというWSLの仕組みは、中身をみると結構面白そうだ。できるなら廃止されたWindows Subsystem for Androidも、ソースコードを公開してくれると面白いのだが。

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