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バーチャルプロダクションの可能性

auのCMが素敵なので作った人に話を聞いたら、驚きの手法で作られていた!

2025年06月16日 12時30分更新

文● ASCII

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「親しみやすさ」と「先進性」の両立

 今回のCMが伝えたかったのは、「au Starlink Direct」という技術が先進的でありながら“いますぐに、誰でも使える”点。中村氏は「お客さまにとってもメリットの大きいサービスなので、第一にインパクトを重視しています」と語る。

 篠原氏は「一方で、未来的すぎる映像表現になると、ユーザー様は身近に感じられなくなります。そこで『いま手にしている、そのスマートフォンで使えるんだよ』ということを、映像で表現することにこだわりました」と話す。

 技術の先進性と、サービスとしての親しみやすさ、双方を両立するためにも、バーチャルプロダクションは一役買ったようだ。

 女優の有村架純さんの起用は、「信頼感」を軸にした演出の一環。「有村さんには、昨年の12月から放送していた前回のCMにもご出演いただきました」と中村さん。

 有村架純さんも、バーチャルプロダクションによる撮影について「スタジオでこの映像が撮れるなんて、すごくいいですね」と新たな撮影手法には好意的だったようだ。

「ものを捨てない」撮影手法としての側面

 制作の現場から見たバーチャルプロダクションの魅力は、コストやスケジュール管理だけではない。

 篠原さんは「たとえば、大きな館の前で撮影したいという案があったとして、従来なら美術で作るしかなかった。でもそれって、終わったら巨大なゴミになってしまいます。ロケ撮影をするにしても、適する場所がなかったり、場所が遠すぎて、出演者とスタッフ全員のスケジュールを合わせて撮影日を決めるのが難しかったりする。そうすると、結局は諦める方向になってしまうことも多いのです」と、バーチャルプロダクションのメリットについて語る。

 「選択肢が広がり、諦めていたことが諦めなくてよくなる。それが、バーチャルプロダクションの持っている可能性だと思います。まだ国内では採用例がそれほど多くないと聞いていますが、今後も、使っていける事例は増えていくのではないでしょうか」(篠原氏)

他キャリアのユーザーも利用できる

 最後に、au Starlink Directの持っている価値とCMについて、両名にコメントを求めた。

 「KDDIは、理系の技術者がとても多い会社で、“本気でつながる技術”を研究し続けています。ずっともっとつなぐぞ!を合言葉に、改善に改善を重ねて、いまものすごく“つながる”キャリアになっています。私自身も愛用していますが、この速度で、これほど“つながる”のはすごいと思う。従来なら圏外になっていた場所で、衛星通信にすぐ切り替わる快適さも、皆さんに体験してほしいです」(篠原氏)

 「au Starlink Directは、先進的な技術に興味のあるアーリーアダプターの方だけでなく、皆さんに使ってほしいサービスです。au以外のお客さまも、専用プランの契約で利用できるので、ぜひ体験してほしいです」(中村氏)

 何気なく興味を惹かれたCMの裏側には、テクノロジーとアイデアの積み重ねがあった。次にテレビで流れるauのCMを見かけたら、ちょっとだけ、この“現場”のことを思い出してみてほしい。

中村亮太氏 プロフィール

 KDDI コミュニケーションデザイン部 1984年埼玉県生まれ。明治学院大学卒。2007年入社後、CS部門、渉外/広報部門を経て2018年よりデジタルマーケティング領域を担当。現在は、マス、デジタル広告を中心に、au事業全般のクリエイティブ企画・制作に従事。

篠原誠氏 プロフィール

 1995年一橋大学卒業後、株式会社電通入社。コピーライター・CMプランナー・クリエイティブディレクターを経て、2018年に篠原誠事務所を設立。戦略からマス、デジタルそして、店頭までを含めた統合コミュニケーションの企画立案を得意とする。

 KDDI株式会社 au「三太郎」シリーズをはじめ、KDDI株式会社「UQ三姉妹」、トヨタイムズ、花王株式会社 アタック ZERO(ゼロ)「#洗濯愛している会」、株式会社トライグループ「教えてトライさん」シリーズなどを手がけた。CMソング「海の声」「みんながみんな英雄」「やってみよう」ほか、作詞も担当。クリエイター・オブ・ザ・イヤー、ACCグランプリ、TCCグランプリなど多数受賞。

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