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AI insideとYOUTRUSTの実践知にみる利点と課題

Devin活用の2社はどう変わった? コーディングエージェントは“組織的導入”が競争力に

2025年06月04日 08時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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意外な成果として“非エンジニア”の業務が拡大

 続いては、約35万人のデジタル人材を抱えるキャリアSNS「YOUTRUST」における事例だ。YOUTRUSTで「AI爆速普及委員会」の委員長を務める須藤涼介氏より詳細が語られた。

YOUTRUST エンジニアリングマネージャー/SRE 須藤涼介氏

 YOUTRUSTが導入するAIツールは、Devin、そしてCursorだ。導入の背景として、開発者の増員以上にプロダクトが成長しており、開発量や改善要望が急増していることがある。

 同社はなぜ、AIツールとしてDevinとCursorを選んだのか。

 もともと同社では、AIツールの利用料を負担する制度があり、対象ツールを自由に利用できる環境を整備していた。特に、GitHub Copilotは、全エンジニアが活用していたという。

 Cursorは、当初、開発チームの数名が使い始め、手ごたえを感じたメンバーから利用が広がっていた。そこで、エンジニア間で格差が生まれないよう、組織として導入することを決定。2025年4月より、Cursorの利用料を全額負担する制度を開始した。「組織として活用していくことが競争優位性のカギになる」と須藤氏。

 須藤氏は、Cursorについて、「新しいモデルがどんどん登場する中で、複数モデルを切り替えられる柔軟性の高さが良いところ」と評する。その他にも、複雑なコードの文脈理解力が高く、横断修正に強い点も特徴だという。

 一方のDevinに関しては、2024年末の登場で話題になったのを受け、さっそく社内検証を始めた。PR作成まで自律実行できる「唯一の選択肢」(須藤氏)であり、検証において効果を実感できたことが導入の決め手になっている。

各AIツールの特徴と役割

 導入を決定してからは、予算確保と制度設計を進め、導入後は、セキュリティ面を中心に運用ルール・ガイドラインを整備。「Slackの特定ルーム内で指示をする」といった、ナレッジを資産化するための仕組みも整備した。

 現在、Cursorは、主に「複雑な実装の補助」や「設計レビューの下書き作成」に利用。Devinは、保守タスクの自動化やPull Request作成をはじめ、仕様調査や分析用のSQL作成などにも役に立っているという。

 利用開始から約3か月経つが、PR作成数が1.8倍に増加。また、想定外の成果として、PdMやデータアナリストといった「非エンジニア」の業務が拡大しているという。エンジニアに質問しなくても、「Devin Search」の機能である程度の回答が得られるようになり、仕様調査や叩き台作成、SQL作成などをAIと進められるようになった。「先日も若手PdMが、簡単な修正PRを自ら作成するなど、革命が起きている」(須藤氏)。

PdMのAI活用はYOUTRUSTのブログでもまとめられている

 最後に今後の課題だ。まず、AI insideも挙げた課題として、PR作成の増加に伴う「レビュー負荷の増大」がある。この対策として、Devinにプレイブックや仕様などを渡し、レビューもAIと協働できる体制を整備していく。

 また、AIツールが急速に進化する中で、どう選定していくかも難しいポイントだ。「定期的なツール評価や選定基準の明確化が必要」だと須藤氏。いずれにしても、「AI活用は単なる効率化じゃなく、企業や事業としての競争力となり、組織としての成長力の源泉になる」と付け加える。

 最後に須藤氏は、「YOUTRUSTでは、技術進化に適応して、組織として学び続けるカルチャーこそが、競合優位性と考えている。とはいえ、AIも技術と同様にあくまで手段。プロダクト価値の最大化と強い組織づくりこそが最終ゴール」と強調した。

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