最低限の機能を実装している
Editは、GitHubのリポジトリにある「Release」ページから、コンパイル済みの実行ファイルをダウンロードできる。原稿執筆時点では、5月19日に公開されたEdit V1.0.0しかなかった。実行ファイルは、現時点ではLinux用、Windows用のARM 64bitバイナリ、x86/x64バイナリの4種類である。いずれも圧縮ファイルで任意のフォルダに解凍して実行が可能だ。
現在のEditは、テキストファイルの読み書き、テキストの入力、編集、検索と置換が主な機能。エディタとしては最低限の機能を実装したにすぎない。WindowsターミナルのVTエスケープシーケンスでは、マウスによるクリックなどを取得できるため、カーソル移動などにマウスを使うこともできる。
基本的な機能はメニューから選択する。メニューは「File」「Edit」「View」「Help」の4つ。もちろんAlt+F/E/V/Hのキーボード・アクセラレーターでメニューを開くことができる。メニュー項目にもアクセラレーター(下線のついた文字)があるようだが、Alt+文字キーでは選択できず、現状はコントロールキーを併用するキーボードショートカットを使うか、カーソルキーとエンターキーによる選択・実行のみが可能なようだ。
また、設定ページなどはないが、Viewメニューの「Focus Statusbar」を選び、最下行にある項目をカーソルキーで選ぶか、メニューを使わずマウスで直接クリックすると、行末コード、ファイルエンコード方式、インデント(タブまたはスペースの選択とインデント幅)を選択することが可能だ。意外にファイルエンコード方式が多数あるが、これは、前述のICUの機能を利用しているからだ。
ステータスバーのエンコーディングをクリックすると、エンコーディングのリストが表示される。リスト内容は、Windows側のICU(International Components for Unicode)から入手したもので、このあたりの機能はWindowsのICUに依存している
複数のテキストファイルを同時に開くことができるが、現状は分割表示などはなく、ステータスライン右側にあるファイル名部分をクリックして表示するファイルを選択する。
現在のWindowsターミナルは、ユニコードの書記素(Grapheme、グラフェム)クラスターに対応しているため、たとえば、ゼロ幅接合子(zero width joiner、ZWJ)により、複数の人間の絵文字を組み合わせたもの(人ごとにスキントーン修飾子がつく)など、複雑な絵文字でも、正しく全角1文字幅として扱える。これは、Windowsターミナル V1.22安定版以降で対応しているため、Editでも同様だ。
なお、画面左側に番号が表示されるが、これは、パラグラフ(改行文字で区切られる1行)の番号で、右端での折り返し(ViewメニューのWord Wrapでオンオフ)をすると、折り返し行には番号がつかない。
Windowsターミナル内で動作するEditはそのまま使うもよし、オープンソースなので改良して個人的な機能を追加するベースにすることもできる。Windowsターミナルでは、Sixelによるグラフィックス表示や、Cascadiaコードによる拡大文字なども利用可能なため、できることは結構ありそうだ。

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