シャープは5月12日、中期経営計画の一環として、亀山第2工場(三重県亀山市)を鴻海精密工業へ譲渡する方針を明らかにした。譲渡は2026年8月までに実施される予定だ。
中小型ディスプレー事業再編のため
象徴的な生産拠点を譲渡
シャープが5月12日に発表した中期経営計画(FY2025-2027)の中で、ディスプレーデバイス事業の構造改革の一環として、亀山第2工場を2026年8月までに鴻海精密工業へ譲渡する方針が示された。かつて「世界の亀山モデル」として液晶テレビ市場を席巻したシャープの象徴的な生産拠点が、大きな転換点を迎えることになる。
今回の譲渡は、シャープが進める「アセットライト化」戦略に基づくもので、財務体質の改善とブランド事業への経営資源集中を目的としている。亀山第2工場は市場価格の変動が大きい(ボラティリティの高い)状況が課題とされていた。譲渡後、シャープは鴻海からパネルを調達し、製品販売を継続する計画だ。
シャープは今後、ディスプレーデバイス事業において、競争優位性を持つ車載向けやモバイル、産業用途といった高付加価値製品に注力する方針を示している。亀山第1工場は車載専用工場へと転換し、白山工場(石川県白山市)ではIGZO技術を活用した超高精細ディスプレーなどの生産を強化する。これにより、ディスプレーデバイス事業の収益性改善と安定化を図る。













