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IBMより先にパソコンを発売した“半導体からAIまで”のエンジニアリング企業

「日本の知名度が課題」 Appleと同年創業、いまは22万人が働くインド・HCLTechの実力

2025年04月28日 09時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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オリンパスなど、日本企業のインド拠点開設をフルサポートする取り組みも

 現在、日本市場でメインターゲットとしているのは、「Forbes Global 2000」企業やそれに匹敵する規模のエンタープライズだという。製造、金融、テクノロジーといった業界を中心として、大型の長期契約を狙う。

 顧客企業の一例として、メディカルテック/内視鏡メーカーのオリンパスを紹介した。オリンパスとはすでに約10年にわたって、エンジニアリングとR&Dの側面でパートナーシップを構築してきた。昨年(2024年)には新たに、オリンパスがインドに開設するR&D拠点(製品イノベーションセンター)の開設準備を、HCLTechが支援することを発表している。

オリンパスのインドR&D拠点開設を支援する新たなパートナーシップを締結した(画像はオリンパスのプレスリリースより)

 このオリンパスのように、日本企業がインドに子会社や開発拠点を立ち上げる際に支援する“B-O-Tプログラム”をスタートしている。これはHCLTechが、インド拠点構築(Build)のための施設や人材の調達、運用(Operate)のための製品エンジニアリングなどをサポートし、運用が軌道に乗った段階で拠点そのもの(施設や従業員を含む)を顧客に移管(Transfer)するプログラムだ。中山氏によると、オリンパスはその第一号顧客であり、契約期間は5年間に及ぶという。

 「日本企業が自ら、インドでゼロから拠点を作るというのは大変なことだ(ハードルが高い)と思う。そこで、まずはHCLTechが拠点を設立し、運用を安定化させたうえで、顧客企業へと譲渡する。われわれにとっても新しい取り組みだが、おそらくほかのITベンダーはまだやっていない、ユニークなプログラムなのではないか」(中山氏)

インド拠点を開設したい日本企業に代わって、拠点構築(Build)と運用(Operate)をHCLTecch主導で行い、軌道に乗った時点で譲渡(Transfer)する新たなプログラム

最大の課題は「日本での知名度」、その壁を乗り越え“成長フェーズ”へ

 中山氏は、「日本市場における最大の課題は『知名度』」だと強調した。半導体設計からハードウェア、ソフトウェア、さらにAIやIoTといった先進的なテクノロジーまで、幅広い実力を持つHCLTechだが、“裏方”に回る機会が多かったため、欧米や日本のITベンダーと比べると圧倒的に知名度が低い。

 そのため、営業活動でもアプローチに苦労するケースは多いという。この点は、グローバルのHCLTechでも日本市場を成長させていくうえでの課題ととらえており、今後、マーケティング活動に注力していく方針だと述べた。

HCLTech本社のあるノイダキャンパス。ここではおよそ3万5000人の従業員が働く

 もうひとつ、インドのIT企業が日本市場で成長していくために、「ローカライゼーション」や「デリバリーのクオリティ」も重視し、取り組んでいくと語った。言語や文化の壁がある中で、日本企業が求める高品質のサービスを提供するためには、HCLTech Japanが顧客とインド本社の“ブリッジ(架け橋)”となって、双方のギャップを解消していく必要がある。

 「いかに(インドと日本の間の橋渡しを)スムーズにやっていくか。単純にブリッジエンジニアを増やすだけではなく、営業活動も含めて、いかにうまくブリッジしていくかが重要な問題だと考えている。そのため、このブリッジの機能をさまざまな面で強化しているというのが、現在の状況だ」(中山氏)

 HCLTech Japanの社長に就任してから3年あまり。中山氏は「この2、3年間で、日本の活動基盤がかなり整ってきた」と自信をのぞかせた。実際のビジネスでも、100億円、200億円規模の大型案件が増えつつあるという。

 「HCLTech Japanの売上も、次年度からは飛躍的に伸びてくると考えている。そうなると、グローバルからも投資がしやすくなり、日本では新しいチャレンジがしやすくなる。そういう“第2フェーズ”に入ってきた、という印象を持っている」(中山氏)

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