歴史的建造物と高層ビルが融合! 都市開発マニアが案内する「丸の内建築ツアー」 第17回
誰もが知る丸の内のランドマーク
5棟のビルで作られた高層のダンジョン、異世界転生レベルの吹き抜けが圧巻!「丸の内オアゾ」に見る「歩いて移動」する人向けの仕掛け
丸の内オアゾの再開発前の姿
東京駅丸の内北口を降りてすぐ目の前、住所が東京都千代田区丸の内一丁目1番という区域が広がっています。そこには、江戸時代より「熊本藩細川家上屋敷」がありましたが、大正時代に入り、「一丁紐育(いっちょうニューヨーク)」と呼ばれるオフィス街が形成されると、東京タクシー自動車によってホテル計画がなされます。建設が進められている1923年9月1日に関東大震災で被災しましたが、被害は最小限で済み、1924年10月28日に「丸ノ内ホテル」として開業しました。場所は現在、「新丸の内センタービル」が建つ永代通りに面した場所で、この一角の開発がここから始まります。
丸ノ内ホテルが開業した約10年後の1935年には、現在の「丸ノ内ホテル」が建っている街区南東側に地上8階、地下1階、延床面積40,777㎡の「鉄道省」の新庁舎が着工します。戦時下ということもあり、空襲対策として、屋上は1トンの爆弾にも耐えることが可能な50cmもの厚さの耐弾層が設けられていたほか、窓には爆風除けを設置、外壁は黒い迷彩塗装となっていたようです。更に東京駅との間には、地下道も設けられており、この時に現在もある東京駅から丸の内オアゾへの地下道が開通していたことになります。そのような国鉄本社ビルとなる「鉄道省新庁舎」は、1937年に竣工し、更に西側に増築が計画されましたが、太平洋戦争の激化により建設は見送られ、戦後の1949年に国鉄が誕生し、「国鉄本社ビル」となります。そして戦争により建設が見送られていた西側の地上9階、地下3階、延床面積35,740㎡の増築部分が1962年に竣工、東側半分が「旧館」、西側半分が「新館」となり、国鉄本社は新館へ移転、旧館には国鉄東京鉄道管理局などが入居しました。
街区北東側の現在、「丸の内北口ビルディング」が建っている場所は、当初は、鉄道省の増築用地として三菱地所から賃貸されていましたが、戦後、GHQにより一時的に接収されたのち、再度、日本交通公社に賃貸されていました。木造の社屋では防火の面で課題があり、三菱地所との共同ビル建設へと踏み切ります。「交通公社ビルヂング」として1959年に着工、地上9階、地下3階、延床面積31,147㎡の規模で1960年12月に竣工しました。
その後、1966年には、現在、新丸の内センタービルディングが建っている街区北側中央部に「東京中央ビル」が竣工しています。
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