Microsoft Teamsの登場、コロナ禍とリモートワーク
当時のMicrosoftは、急速にシェアを伸ばしていたSlackに注目しており、その買収を考えていた。その裏で、Microsoft Teamsの開発も進んでいた。
2016年、MicrosoftはTeamsをリリースする。まずは、Skype for BusinessのTeamsへの移行が発表される。Skype for Businessは、2020年に終了した。2018年には、一般消費者向けのTeams無料版が登場する。
この頃、長らくサービスを続けてきたインスタントメッセージング・サービスが終了する。2017年にはAIM、2018年にはYahoo Messengerが終焉。同時期にTeamsの無料版の配布が開始される。
2020年に入ると、コロナ禍による影響でオンライン会議ソフトウェアは、リモートワークなどで必須のソフトとなる。このとき、シェアを伸ばしたのがZoomとTeamsだ。
GoogleのGoogle Talkは、2013年にHangoutsとなったが、2017年にHangouts/Chat、Hangouts/Meetの2つの企業向けサービスが分けられた。これは、2021年にGoogle Chat、Google Meetに名称が変更された。
当時のGoogleのコミュニケーションアプリは、頻繁に名称が変わる、似たようなサービスが複数登場するなど、ちょっとした混乱があった。2016年にチャットアプリ「Google Allo」、通話アプリ「Google Duo」をリリースしたが、すでに覚えていない人も多そうだ。Duoは、2022年にMeetに吸収され、Alloは2019年に終了している。頻繁な名称やポジションの変更によって、GoogleはTeamsやZoomに後れを取った感がある。
ただ、Teamsも安定していたわけではない。企業向けの有料版、一般コンシューマー向けの無料版と異なったソフトウェアがある状態で、企業向けTeamsにも無料版があった(聞くところによれば政府向け版もあるらしい)。さらにWindows用のほかにMac用、モバイル版(Android、iOS)がある。企業向けには、ブラウザから利用できるWeb版もある。
そのいずれもがTeamsであり、単純に「Teams」と書かれていると、どれを指しているかがわかりにくい。また、バージョンアップで、画面や機能も頻繁に変わり、インターネット上の記事などもどのバージョンについて記述しているのかを調べないと、役に立たないことがある。認知度が低かった無料版Teamsは、Windows 11登場時に「チャット」という名称でタスクバーに登録されたこともあった。
2023年になり、Microsoftは無料版Teamsを廃止した。ソフトウェアとしては1つになったが、サービスとしては、「Microsoft Teams Free」と「Microsoft Teams (work or school)」の2つがある。後者の利用にはMicrosoft 365(Office)のサブスクリプション契約などが必要になる。複数のアカウントを登録できるが、Microsoftアカウント(個人向け)でログインするか、Microsoft 365(Office)の企業向けアカウントでログインするかで機能が異なる。
TeamsにMicrosoftアカウントでログインしたとき(上)と、Microsoft 365の企業向けサブスクリプションのアカウントでログインしたとき(下)。同一のアプリだが、複数のアカウントを登録でき、選んだアカウントにより機能(ウィンドウ右側のアイコン)が異なる
2025年、いよいよSkypeサービスが終了する。こうした大規模なサービスでは、そのために構築したデータセンターなどが不要になるのだが、SkypeサービスはMicrosoft Azure上で動作しているため、仮想マシンを消してしまえば跡形も残らない。そういう意味では、気軽にサービスを立ち上げられるだけでなく、気軽に終了させることが時代になったということだ。
1995年から始まる、Microsoftのコミュニケーションアプリの歴史は、Skypeサービスの終了で一区切りを迎える。筆者の感覚では、これまで、多数のコミュニケーションアプリが登場したため、多くのメッセンジャーユーザーがそれぞれのサービスに分散してしまい、SNSがその代わりに台頭した感じがある。

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