緊急開催された「Columbus DAY」AIエージェント特集をレポート
AIエージェントは“ROIが高い”! 日本マイクロソフトとパートナーが描くユースケースの現在地
2025年03月28日 15時00分更新
ソフトバンク:業務効率化とセキュリティを両立した「生成AIパッケージ」でAIエージェントを展開
ソフトバンクのAI関連の取り組みは、OpenAIとの連携による企業用AI「クリスタル・インテリジェンス」を発表するなど多岐にわたる。同社の宮田瞬氏は、その中から、企業向け生成AI環境の構築・運用サービスの「MSPサービス 生成AIパッケージ」を紹介した。
同サービスは、顧客のクラウド上に専用環境を構築することで、生成AIによる業務効率化とセキュリティを両立した法人向けソリューションだ。コンポーネントのひとつとしてAIエージェントも提供しており、まずは単一タスクベースのエージェントや業務シナリオベースのマルチエージェントを提案しつつ、より高度なエージェントの構築へと備えている。
単一タスクベースのエージェントとして「顧客向けの提案書」のユースケースが挙げられた。AIエージェントが指示に合致した情報を営業データから抽出、さらに提案すべき情報を選定して、それをもとに提案書を生成するという仕組みを構築しているという。
NTTデータ:「SmartAgent」のグローバル展開で3000億円の売り上げ狙う
NTTデータは、オフィスワーカーの業務に最適化された「パーソナルエージェント」が複数の専門性を持った「特化エージェント」と連携する「SmartAgent」のコンセプトを発表している。このSmartAgentをグローバルに展開、2027年度には3000億円の売上に達することを目指している。AIエージェントについて、同社の宇都宮正善氏は、「我々も非常に期待をかける、大きなビジネスになる領域」と説明する。
SmartAgentは、さまざまな業務・業界で展開予定だが、まずは、“法人営業”に特化したAIエージェントを社内で検証しているという。この領域で連携するのは、「アポイントメント準備」「提案準備」「契約締結」といった細分化された営業業務の特化エージェントとなる。
その他にも、JALカードとは、各クラスタの「バーチャル顧客」をディスカッションさせた内容をもとにプロモーションを展開するという、マルチエージェントに近いプロジェクトも進めているという。
富士通:マルチエージェントの世界観を実現するための研究開発に注力
富士通は、「Fujitsu Kozuchi」というブランドでAIサービスを展開している。独自の特化型LLMやナレッジグラフなどの生成AI技術と、世界最高レベルのAI技術と計算技術の融合、そして、7000件以上のAI導入実績が、同社のAIサービスの強みだ。
富士通の山内美佳氏は、「将来的にマルチエージェントの世界観を実現していく上では、AIの乱立や制御、セキュリティといった多くの課題が存在する」と語る。この課題の解決のために、「セキュア・エージェントゲートウェイ」や「AIワークフロー制御」、「共創学習」といった研究開発を進めているという。
現時点のAIサービスとしては、生成AI(LLM/SLM)の構築・導入を最初のステップに、個別業務をAIエージェントに代替することでの業務プロセスの変革を支援している。「株主総会の想定問答自動生成」や「コールセンターAI自動対応」といったユースケース型の実装サービスを用意し、予想以上に好評なのが実際の社長をバーチャルAI化する「社長AI」で、富士通内でも人気を博しているという。














