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緊急開催された「Columbus DAY」AIエージェント特集をレポート

AIエージェントは“ROIが高い”! 日本マイクロソフトとパートナーが描くユースケースの現在地

2025年03月28日 15時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

提供: 日本マイクロソフト

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 パートナー企業と連携して、日本の生成AI実装を活性化することを目的にスタートした日本マイクロソフトの「生成AI事業化支援プログラム」。現在、第2期の活動が続く中、定例イベントである「Columbus DAY」が、AIエージェントをテーマに緊急開催された。

 2024年11月のMicrosoft Igniteでは「エージェンティックワールド(Agentic World)」というメッセージが打ち出された。それ以降、マイクロソフトは、AIエージェントの実装支援に注力しており、それはパートナー企業も同様だ。

Microsoft Ignite 2024の基調講演で打ち出されたAgentic World

 今回のColumbus DAYでは、マイクロソフトの考えるAIエージェントの世界観や戦略、パートナー企業の手掛ける最新ユースケース、「実装ガイドライン」をはじめとする支援策など、“AIエージェント一色”のプログラムが繰り広げられた。

 イベント冒頭で日本マイクロソフトの執行役員 常務 パートナー事業本部長である浅野智氏は、「AIエージェントがいろいろなアプリをまたぎ、いろいろなデータにアクセスし、ユーザーに応えていく時代が来る。その時には、AI戦略の立案から業務コンサル、ローコード・プロコードの導入支援といったパートナーエコシステムのサイクルが必要になる」と語った。

日本マイクロソフト 執行役員 常務 パートナー事業本部長 浅野智氏

AIエージェントの特徴は「ROIの見えやすさ」

 続いて登壇した日本マイクロソフトの業務執行役員 クラウド&AIソリューション事業本部 データプラットフォーム統括本部長である大谷健氏は、生成AI活用のトレンドは“2つの段階”に分けられると語る。

日本マイクロソフト 業務執行役員 クラウド&AIソリューション事業本部 データプラットフォーム統括本部長 大谷健氏

 シーズン1は、「汎用的なAI」が登場して、企業がこぞって社内チャットボットを試した段階だ。「精度を求めてRAGの沼にはまり、いまだ抜けられていない企業すらある。しかし、一問一答の検索エンジンなため、それほど使われなかった」と大谷氏。

 社内チャットボットから脱却して、「特化型AI」が拡大しているのが現在のシーズン2である。コールセンターやシステム開発など“特定業務”の代替になり得るAIに進化して、コネクテッドカーなど“特定業種”のサービスや製品にAIが組み込まれていく。この特化型AIとして、AIエージェントがビジネスや社会を支えていく世界が「Agentic World」である。

 大谷氏は、シーズン1の生成AI活用とシーズン2のAIエージェントの違いは「ROIの見えやすさ」だと強調する。シーズン1の活用範囲は、「疑問の解決」「文章の要約・校正」といった“ROIが見えにくい単一作業”にとどまっていた。一方、AIエージェントでは、特定のコストを費やしている業務プロセスを置き換えられるため、明確なコスト削減につながる。「企業も、社内ChatGPTを従業員全員に使わせるよりも、ひとつでも業務プロセスをAIに置き換えた方が、価値があると気づき始めている」(大谷氏)。

生成AI活用はシーズン2に

 実際に日本企業もこうした価値に気づき、マイクロソフトとAIエージェントを実装し始めている。

 Microsoft Igniteでも紹介されたのが、トヨタ自動車のパワートレーンカンパニーにおける、「大部屋」制度をAI化したユースケースだ。ひとつの部屋にエキスパートが集まり、切磋琢磨しながら開発をするという同制度を、AIエージェントで実現。車体やエンジンなど複数の領域で専門性を持った9種類のエージェントが連携してエンジニアを支援する。リタイアしたエキスパートの知見をどう残すか、という日本企業の課題に応えるユースケースであり、問い合わせも殺到したという。

トヨタ自動車はAIエージェント「O-Beya」を構築

マイクロソフトは3つのAIエージェントと2つの開発基盤を展開

 マイクロソフトがAgentic Worldの実現に向けて、企業のニーズやレベルにあわせて“全方位”で用意するのが、3つのAIエージェントである。

 一つ目は、マイクロソフト自身が提供する「ビルトイン型エージェント」。現在は、Microsoft 365に組み込まれる形で提供される。二つ目は、「サードパーティ型エージェント」だ。サードパーティのアプリケーションと密に連携する外部エージェントがCopilotとつながる。ここまでがユーザー企業が“使う”AIエージェントだ。

 三つ目が、ユーザー企業やパートナーがAIエージェントを“創る”「カスタマイズ型エージェント」だ。開発基盤として、一般ユーザー・市民開発者向けの「Copilot Studio」、開発プロ向けの「Azure AI Foundry」が用意される。

ニーズとレベルに合わせた3つのエージェントの形態

 開発プロ向けのAzure AI Foundryは、もともと提供していたAzure AI Studioをリブランディングしたものだ。AIエージェントを開発するための各種ツールや、開発環境からのシームレスなアクセスを提供。本番環境でのセキュリティを担保するためのオブザーバビリティまでカバーする。

 さらに、複数のAIエージェントが連携してタスクを遂行する「マルチエージェント」を開発するための、「AutoGen」や「Semantic Kernel」といったSDKも用意する。

開発プロ向けの「Azure AI Foundry」

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