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エバーブルー、スズキの足回りで雪国へ 新千歳空港で除雪ドローンの実証実験

除雪は苦役すぎる つらい除雪作業はドローンにおまかせ

2025年03月31日 15時00分更新

文● 松下典子

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 今冬、日本海側の各地で大雪が話題となったが、雪国では除雪作業の労働力不足が深刻な問題となっている。寒さの中での長時間労働は非常に過酷で、生命に関わる危険も伴う。この問題を解決するため、エバーブルーテクノロジーズは無人除雪機「除雪ドローン」の開発に取り組んでいる。

新千歳空港での除雪実証実験の様子

 除雪ドローンの性能を検証するために、2025年2月25日に北海道エアポート、スズキと共同で新千歳空港にて自動除雪の実証実験を実施した。この実験では、「除雪ドローンV3プロトタイプ」を用いて空港内の一部区域で自動除雪を行い、作業効率や安全性、労働負担の軽減効果、環境負荷の低減を検証した。

 同社の除雪ドローンは、小型・無人の除雪ドローンを動かし続けることで、降り始めてすぐに除雪し、積もらない状態にすることをコンセプトとしている。大型の除雪機に比べると1度に除雪する量は少ないが、狭い通路や建物の際まで除雪できる。また、リモコンで遠隔操作するほか、除雪エリアを指定して自動運転が可能だ。稼働時間は最大5時間と長く、電動のため動作音が静かで、雪の積もりやすい夜間や早朝にも無人で動かし続ければ除雪された状態を保つことができる。

車体のサイズは長さ1.4×幅1.0×高さ0.7メートル。スノープラウの幅は65センチ

 今回の実証実験で使用された「除雪ドローンV3」は車体前部に幅65センチのスノープラウ(排土板)を装備し、押し出すように雪かきをする。足回りにはスズキの「電動モビリティベースユニット」を採用。このユニットは、スズキが長年培ってきた電動車いすの技術を基にしており、安定性に優れ、悪路にも強い。また、多様なロボットの足回りとして利用可能で、自動運転やAI技術と組み合わせた活用が期待されている。

 実証実験では、無人除雪機の作業効率、空港内の運用基準に適合する安全性、労働負担やコストの低減効果、電動駆動によるCO2排出削減効果などが検証された。同社は、検証結果をもとに無人除雪機「除雪ドローン」の実用化に向けた改良を進め、北海道内の各空港への導入を検討している。なお、「除雪ドローンV3」は2026年初頭に発売予定だ。

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